第10話マイマイ面接。カンナとの放課後

マイマイが面接に訪れる日。

僕はというとバイトが休みの日だった。

同じ高校で友人同士ということをリーダーに伝えたところ僕のシフトが休みの日にマイマイの面接は行われた。

きっと贔屓をしないためなのとちゃんとした人材かを知りたかったのだろう。

僕もそれを理解できたので本日の放課後はマイマイを見送ると一人で過ごすことになりそうだった。

「丈先輩…お久しぶりです…」

後ろから柔らかく美しい声音が耳に届いてきて振り返る。

「カンナちゃん。最近はバイトばかりですれ違うこともなかったね」

「ですね…今日は休みですか?」

「うん。マイマイが僕のバイト先に面接に行っていて。だからだと思うんだけどシフトが休みになった」

「そうなんですね…マイマイは…積極的で羨ましいです…」

「ん?積極的?」

「うんん。何でも無いです。鈍感なのは昔から変わらないですね…」

「そうなの?」

「はい。後輩を後輩としか思っていないんじゃないですか…?」

「そんな事は…」

「まぁ良いです…今日は私の相手をしてくれますか…?」

「もちろん。何処で遊ぼうか?バイト代入ったばかりなんだ。何か奢るよ」

「それが目当てなわけではないんですが…ごちそうになります」

そうして僕とカンナは校門を抜けるとそのまま駅の方角まで歩いていくのであった。



駅の近くにあるショッピングモールの中に入っていった僕らは雑貨屋などに入って建物の中を散策していた。

「これ…可愛いです…♡」

雑貨屋に存在していたひよこのぬいぐるみを手に取ったカンナは頬を緩ませていた。

「なになに?」

近くに寄ってそのぬいぐるみを見るとお手頃のお値段だった。

見る限り在庫もここに出ている物で最後のように思えた。

「大人気!」

「売り切れ次第再発注!」

「現品限り!」

そんな大々的に張り出されているポップを眺めて僕はカンナに提案する。

「巡り合いだと思って買ってあげるよ」

「そんな…悪いですよ…」

「良いから良いから。こんな時ぐらいしか先輩出来ないし」

「そんな事は無いですよ」

「まぁまぁ。これぐらいの値段なら問題ないよ」

「先輩が一生懸命に働いたお給料じゃないですか…」

「だからだよ。使い道は自分で決めたい」

「やっぱり優しいですね…」

その言葉に軽く微笑んでカンナの手からひよこのぬいぐるみを受け取るとそのまま会計を済ませる。

「はい。どうぞ」

「ありがとうございます♡私もいつか…お礼のプレゼントを贈らせてください」

「そんなに気を使わなくていいのに。僕が好きでやったことだから」

「じゃあ私も好きでプレゼントを贈らせてください」

「わかったよ。じゃあ楽しみにしている」

「はい。もう少し見て回りましょう」

「だね〜」

そうして僕らはそこから日が暮れるまで駅近くのショッピングモールで時間を潰すと帰路に就くのであった。



「じゃあ丈先輩…また今度…デートしてくださいね?♡」

「うん。じゃあまた」

そうして僕らは各々の帰路に就き無事に帰宅する。

帰宅して着替えを済ませえると夕食を頂く。

風呂に入り自室に戻ってスマホを手にするとマイマイから連絡が届いていた。

「面接受かりました!先輩となるべく一緒のシフトにしてもらうように交渉したんですが…リーダーは許してくれました!やりました!」

そこから僕とマイマイは何度かチャットのやり取りを続けるのであった。

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