夢日記

夢日記


今回は普通の小説を書く気でいたのだが、本日奇妙な夢を(夢なんてどれも奇妙だけれど)見たのでそれを書き起こそうと思う。

これは私なりの「ゆめにっき」であるが、是非楽しんでいってもらいたい


夢を見る前、私は動画配信サービスの動画を見ていた。かの有名な財団の解説動画を見ていた訳だが、どうもこれが夢に影響を与えてしまったらしい。夢はいつもに増して禍々しいものとなっていた。肝心の夢について話していこう。

先に補足させてもらいたいが、夢には時折版権が絡むキャラクターが出てきたりするだろう?

その都合上これらのキャラクターのことを友人と喩えようと思う。何せ夢の中では友人だったのもでね。

さて、なんの話だったか。そうそう夢の話だな。とは言っても夢とは儚いもの(現に儚という漢字には夢が含まれている)だ。ところどころ記憶が抜けてしまっている。なのでここからは小説として私の話を聞いてもらいたい。(見るの方が正しいが)

早速始めよう。私がこれ以上忘れないうちに。


今回の夢は主に私と私の友人3人の視点で繰り広がれる。仮にA、B、Cとしよう。

私の意識がはっきりした時、目の前には3人が立っていた。どうやら私たちは太陽の下で談笑していたようだ。ふと友人達の後ろを見るとそこには倉庫のような建物...の庭だろうか、木々が生い茂っている。どうやらここは友人Aの家らしい。友人Aは黒縁メガネの似合う好青年で、ワイシャツを着ている。第一印象は優しそうで、なんでも許してくれそうな人だった。不思議な家だ。中を見ると、外見の広さとは比べ物にならないほど広く、そこにも木が生えていた。だが、中は外と違い色々散らかっているように見える。ここで場面は戻り、皆それぞれ手を振り別れを言い合っている。そして、私の視線は暗闇に染まっていく。

次にはっきりとしたのは、暗闇の中。どこからか光が差している。その光の中心には明らかに様子のおかしい女性が立っている。彼女が私に声を放つ。許さない。と。

気がつくとそこに彼女はおらず、その代わりに激しい閃光が目を焼く。その光はだんだんと弱くなっていき、世界が見えてくる。

あたりを見渡す。コンクリートのようなもので囲まれた比較的広い通路に私は立っていた。下水道のようにも見えるが、そうではない。まるで地下にあるショッピングモールのような場所だ。もちろん華やかな灯りや、活気のある呼び込みの声は聞こえない訳だが。構造としては、中央に円状の広場があり、そこから様々なところに道が伸びていると言った感じだ。私はそこを迷わずに進んでいく。一つの扉の前で私は立ち止まる。そこは教室のような部屋で、天井の一部分に穴が空いている。そしてそこから上に向かって風が出ているのが見える。

そこにいた男性と少しの間世間話をしながら天井の穴について聞いてみた。だが男性は何も言わない。気になって風の近くに行こうとすると男性が必死に止めてくる。そっちにいってはダメだと。だが、私は夢の不思議な効力によってどんどんと前に進み、とうとう風の前まできた。背中から大きな羽のようなものを広げると、私はその風に乗ってどんどん上へと昇っていった。上に行くにつれて風は勢いを増す。突然頭上に理屈はわからないが空に浮いているものが見えてくる。それに近づくにつれ、速度が落ちる。私はそれに着陸する。見た目は...形容し難いというのが本音だが、強いて喩えるのであれば宇宙ステーションのような感じだろうか。外面はガラスのようなものに覆われ、複雑な装置が沢山置いてある。私はそのどれにも触れずに奥へ進んでいく。そして最奥に到着する。そこはコントロールルームのように見える。そこには一人少女がいて、装置を慌てた様子で操作している。ひとしきり操作を終えると少女は振り返る。少女の顔を確認するよりも先に私の視界は暗転する。

目を開ける。

視線の先には友人Bの背中が見える。

友人Bは私より少し身長が低く、鮮やかな金髪を持っている女性だ。友人Bの向こう側には真四角のプールが見える。ここは友人Bの家のようだ。私からは友人Bが見えているが、向こうからはこちらは見えないらしい。ゲームで言う3人称視点だ。友人Bは見たところ女性用の水着を着ている。今まで泳いでいたのだろうが、体はどこも濡れていない。プールの右手には緩やかな階段があり、それは弧を描いて上に伸びている。友人Bはそこを登っていく。思いの外長い階段に少し驚いていると、友人Bは目的地にたどり着いたようで、その場に立ち止まった。友人Bは終始楽しそうに体を揺らし、鼻歌を歌っている。友人Bはガラスに囲まれた部屋に入ろうと扉を開ける。中に入ると、私は目を疑った。それは友人Bも同じだったようで、目を見開き震えている。その部屋は周りがガラス張りになっていて、街灯の灯りも中に入ってくる。外から見ると中にはビーチチェアが何個か並んでいるだけの質素な部屋に見える。

しかし、私たちが中に入るとそこは、

暗闇だった。

部屋が闇を放っているようだった。

友人Bは慌てて周りを見渡す。が、そこには何もない。ただ闇が広がっているだけだった。

急に友人Bがこちらを見る。いや、正確には真後ろを向いた。

私もつられて振り返る。

一閃。

光の線が私の眼前に現れる。

友人Bの方に向き直る。

ゆらりと友人Bの体が揺れると共に、友人Bは地面に倒れ込む。徐々に失われていく目の光を見ながら私の意識は失われた。

次に気がつくと先程までの惨劇などなかったかのように穏やかな眩しい光が私を包む。

隣を見やると、友人Cが立っている。友人Cは法律家で、緋色の髪と大きな本を携えている。

ここは友人Aの庭の前、そう最初の場所に戻ってきていた。しかし、最初とは違い友人Cは神妙な面持ちをして友人Aの家を見つめている。急に腕を引かれ、私は転びそうになりながらも友人Cについていく。

友人Aの家に入ると、以前とは見違えていた。

枯れた木、どす黒い液体、大量のゴミ。

何があったのか。友人Cはあたりを調べ、私の前に戻ってきた。そこで私たちは少しの間意見を交わし合い、友人Aの家を出ようとした。

ガラン。

音がした。

振り返る。

そこには、ドロドロに溶けたように見える巨大な漆黒の女が、怒りに満ちた表情で佇んでいた。

私たちはそれを確認すると勢いよく走り出した。不思議なことに、友人Aの家の構造がみるみる変わっていく。まるで私たちを逃さないかのように。

それでも私たちは逃れようと走り続ける。

しばらく走っていると、光が見えた。

出口だ。私たちはそう思った。

私たちはより早く走る。

光が近づいてくる。もう少しだ。

光に到達し、この空間から出ると、外は眩い光を放っていた。外だ。

安心したのも束の間、奴はそれでも追ってきていた。

急に場面が変わる。

隣にいた友人Cはいなくなっていた。真っ暗な部屋に放り投げられた私は不安になってあたりを見渡す。

奴だ。

私はまた走る。奴は先程より速度を上げ私の真後ろまで来ていた。

奴は何か叫びながら私に襲い掛かる。

もう無理だ。

全身に強い痛みが走り始めた。

そして。


私は目を覚ました。

あたりには見知った光景。自分の毛布。

あの夢、そして、あの女から私は逃げることができた。時刻を確認すると、夜中2時30分。

私の体は汗で濡れていた。

そして、印象深かったこの夢を忘れられず、今眠りについたらまたあの女に襲われる夢を見るかもしれないと思った。

しかし、私が再び眠りに落ちるのはそう遠いことではなかった。

再び目覚めると、時刻は7時20分。

今日は予定が入っていたので自分の部屋からリビングに向かう。

そして、現実の友人との待ち合わせまでの時間と、帰宅してからこれを書いているわけだが、未だにはっきりと覚えている。

あの女は憎悪に満ちていた。

何故そうなったのかはわからないが、とても興味深かったと思う。


私の「ゆめにっき」に付き合ってくれてありがとう。

夢とは面白いもので、同じ舞台に立つことはそう多くない。

それでももし、またこの舞台に立つのなら。

私は彼女を救いたい。

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