八
「その爪では、長すぎてできんじゃろ」
「俺はどうなるのだ」
「もう、知っとろう。だからおまえは、爪が伸びて、ここまで落ちた」
鬼は男をつまみ上げた。男はなにも答えなかった。
「そんなに拒むなら、もう生まれぬよう、喰ってやろう」
鬼は男を飲みこんだ。飲み込んだ腹を爪が刺した。腹を押さえると無数の針が尻か
らひり出された。針は
「つぎは、刺さらぬとええが」
鬼は尻を押さえながらそう言った。漏れ出た針のことは、いずれ誰かの耳に入るだ
ろう。そう鬼は考えた。
髪と爪、針と糸 赤山千尋 @T-CHIHIRO
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