六
女はひたすら耐えた。ぴんぴんと髪が引っ張られぴんぴんと絶え間なく抜けていっ
た。毛が抜ける。抜けてはいちいち頭が痛む。痛みで玉の汗がいたるところから吹き
出した。吹き出た汗をぐいと拭う。拭ったところで女は気がついた。握っていた男の
重みがなくなっていた。抜けた髪は黒く、縮れていた。長々と伸びていたはずの黒髪
は切れていた。
髪を何かが切ってしまったらしい。女はとっさに岩穴に髪を垂らすが、切れた髪で
は届くはずもなかった。穴をのぞいたまま
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