第20話 あ!パパが帰って来た!
「んー、んー……」
そう一生懸命に考えている琥太郎。
もうここまで来ると今日一日で琥太郎は豪に慣れて来たという証拠だろう。 かなり警戒心だって解けているのだから。
もしかしたらさっきの豪の言葉で豪はいい人なんだって、分かったのかもしれない。
「じゃあ、オムライス!」
「分かった。 オムライスだね……」
そう豪は琥太郎に笑顔を送るのだ。
「じゃあ、琥太郎君は、遊んでるか、テレビでも見て待っててよ」
「はーい!」
と元気よく返事をするところからすると、やはりまだまだ純粋な歳なのであろう。
これが小学校の高学年とかになってくると早い子というのは反抗期というのが始まる。
何んでも噛んでも反抗してしまいたいと思う年頃だ。
本当に素直な今が純粋に会話が出来る歳なのであろう。
しかし本当に琥太郎という子供は大人しい子だと思う。 いや流石に知らない人が家に来て、大人しくしてる方が当たり前なのかもしれない。 いや中には知らない人にだって、いきなり反抗的な態度を取る子だっているのだから。 だけどそれは逆に稀な方だろう。
まだ豪が来て初日なのだから、ただ単純に琥太郎は本性が出てないだけだ。 子供だって、そういうところ警戒はするのだから。
豪はご飯を作りながら、時折、琥太郎の様子を見に部屋へと向かう。
テレビのリモコンを使って、チャンネルを変えてとやってるところからすると、もう琥太郎は結構色々と出来る方なのかもしれない。
そこに安心し豪の方は再びキッチンへと向かうのだ。
お父さんである慧が普段からドジばっかりしているもんだから、逆に琥太郎の方がしっかりしないとと思うのだから、琥太郎はしっかりとしているのであろう。
そして豪が丁度ご飯を作り終えた頃だっただろうか、外から車のエンジン音が聞こえ、床に転がってテレビを見ていた琥太郎は、
「あ! パパだっ!」
と言うと、立って庭に続く窓を開ける。
「おかえり、パパっ!」
そう言うと慧は庭からその窓へと向かって来る。 そして窓際に立っていた琥太郎のことを抱き上げるのだった。
「パパぁああ!!」
そんな琥太郎は本当に嬉しそうだ。
そんな幸せそうな二人を見ながら微笑む豪。
そう豪の方はこういう仕事をしているのだから、色々な家庭を見て来たのだが、まだ自分の方は誰もいないのだから、ちょっと羨まし気に見ていたのかもしれない。
そんな豪に気付いたのか、慧は、
「あ、スイマセン! こんなに遅くまで家に居て下さって、ありがとうございます」
そう頭を下げてまで豪にお礼を言って来る慧。
「え? あ、いえいえ……私の事は気にしなくていいんですよ。 お家のことは色々とやっておきましたので、後は琥太郎君との時間を過ごして下さいね」
そう言って豪は慧に笑顔を見せるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます