第19話 パパと一緒に遊べるの?

「これからは、大丈夫だよ。 だって、私は暫くここで洗濯やお皿洗いとかっていうのをやっていくからね」

「え? じゃあ、パパは洗濯とかってやらなくなっちゃうのー?」


 琥太郎は何だか寂しそうに言っているのは気のせいであろうか。 しかもしっかりと豪のことを見つめながらなのだから、大分今日は琥太郎との距離を縮められたのかもしれない。


 子供というのは、興味があれば近付いて来るもんだ。 そして『この人は大丈夫だ』と思えば、話し掛けても来るもんなのだから。


「んー、琥太郎君は、パパに洗濯物とかってやってもらいたいと思ってるんだね。 でも、パパはお仕事で忙しいでしょう? だから、私がパパやママの代わりになって、お家のお仕事をするんだよ」

「ふーん、そうだったんだね!」


 そう琥太郎が笑顔を見せてくれるところを見ると、やっと豪の言葉に納得してくれたようにも思える。


「パパが帰って来たら、琥太郎君とパパとの時間がいっぱい増えることにもなるんだけどね」

「ん?」


 と今豪にが言った意味が分からなかったのか、琥太郎は首を傾げるのだ。


 子供との会話で難しい点というのは、大人ではそれくらいの言葉さえ言えば直ぐにピンっと来るもんなのだが、子供の場合には、直ぐに分からないところだろう。 そうもっと砕いて話をして上げないといけないところなのかもしれない。


 だが豪の方はこの仕事を始めて数年は確実にして来ている。 だから色々な子供も見て来た。 未就学児なら、まだまだ分からない言葉というのは少ないのかもしれない。 だが小学生高学年位になってくると、今の豪の言葉だけで意味が分かるもんだろう。 だけどそれくらいの年になってくれば、親との時間というのはあまり必要ではない無くなってくるもんだろう。


「じゃあ、毎日のようにパパはお仕事から帰って来て、ご飯作ったり、お掃除したり、お皿を洗ったりしてたら、琥太郎君と遊んでくれる時間っていうのはなくなっちゃうだろ? だけど、私が先にそういうことをして行ったら、パパはそういう事をしなくてもいいんじゃないのかな?」


 そこまで砕いて琥太郎に話をすると、琥太郎の表情がみるみるうちに変わって行き、興奮気味に、


「そうだねっ!」


 と言うのだ。


「やったぁ! やったぁ! パパが帰って来たら、パパと沢山遊べるー!」


 そう本当に体いっぱいで喜びを表現する琥太郎。 そんな琥太郎に豪は微笑むと、


「とりあえず、洗濯物はここに置いておくね。 後はパパが帰って来たら、タンスに入れるとかしてね」


 そう豪は琥太郎に伝えるのだ。


「次はご飯作ろうかな? 何か琥太郎君食べたい物ある?」

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