第18話 わっ!綺麗に出来た!
豪は首を傾げながら琥太郎のことを見つめる。
「ん?」
琥太郎の方も何でか首を傾げるのだ。
すると琥太郎の方は、
「だって、パパが洗濯物すると必ずもう一回洗う羽目になるんだもん」
その言葉に要約、豪の方も納得するのだった。
「そうなんだね……」
そう優しく返す豪。
そう言って豪は靴を脱いで洗濯物を部屋の中へと持って行く。 そして床に座って、畳み始めるのだ。
それを豪の目の前で見つめる琥太郎。
その姿に不思議に思いながらも豪は黙々と洗濯物を畳んでいく。
「うわぁ! 綺麗っ!」
その琥太郎の言葉に再び首を傾げる豪。
一体、何が綺麗だと言っているのであろうか。 そこは今の豪からしてみたら疑問に思うところなのであろう。 寧ろ、疑問に思うところだ。
「何が、綺麗なのかな?」
そう当たり障りのないような言葉で返す。
「ん? 洗濯物が……?」
そう疑問系風に聞いて来ているのだから、琥太郎の方も自分自身で何を言いたいのかが分かっていないのかもしれない。 いや自分自身では分かっているもののどう言葉にしていいのかが分かっていないのであろう。
豪の方は今琥太郎が言っていた言葉の意味を考えてみる。 そう洗濯物を畳みながらだ。
確かに今の琥太郎は豪に向かって、「洗濯物が綺麗」と言ってなかっただろうか。 ということは琥太郎が言いたいことというのは、二つのことが考えられる。
先ずは、パパはドジだから、洗濯物を二度目洗いをしなきゃいけないけど豪の場合には一回で済んだことを指しているのか、それとも単純に畳み方が綺麗ということだ。
そこで豪は琥太郎に問うてみることにしたようだ。
「琥太郎君、今のはどういう意味で綺麗だな。 って思ったのかな?」
「んー? んー……」
そう考えてしまっているのだから、まだ自分では良く分かってないということなのであろう。
「んー、じゃあ、今おじさんが琥太郎君に聞いてみるから、どっちかっていうのに答えてね」
そう言うと、琥太郎の方は大きな声で、
「うん!」
と答えるのだった。
「パパと洗濯物をすると、もう一度洗うことになってるけど、おじさんの場合には、それをしなくていいから洗濯物が綺麗だ。 っていうことと、畳み方が綺麗だ。 っていうのでどっちなのかな?」
「んー、んー……」
とまた考えてしまっている琥太郎。
その答えを待っている間に豪の方は手を動かし洗濯物を次から次へと畳んでいくのだ。
「ん、とねっ! 両方っ!」
そう屈託な笑顔を見せる琥太郎に豪は、
「そっか!」
そう笑顔を見せるのだった。
少しでも今日は琥太郎が豪に興味を持ってくれて会話が出来れば十分だと最初っから豪はそう思っていたようなのだから、今日は琥太郎との関係はそれでいいと思っていたのであろう。
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