第15話 お家ではお昼寝が出来ないんだよ……

 豪はこういう仕事をしているのだから、今まで沢山の子供達を見て来た。 だから子供関連の学校に通ってなくても独学で子供の心理学みたいなのは分かっていて子供と接する事が出来るという事だ。


 一人っ子で、一人親の子供というのは親が片方だけだからなのか、わりとしっかりしている子供が多い。 何でも一人でやれるし積極的な子が多いだろう。 そう親が一人だから、それを見て忙しそうにしていたら頼る事が出来ないと思っているからなのかもしれない。 そして兄弟がいて長男、長女というのもやはりしっかりしている子が多い。 妹や弟が出来てお兄ちゃんやお姉ちゃんになると「しっかりしないと!」と思うからなのかもしれない。


 琥太郎はその片親の一人っ子の部類に入るのだから、きっとしっかりとしているのかもしれない。 いや先ず親がドジっ子だから自分がしっかりとしないとと思うから琥太郎の場合にはそうなったのであろう。


 今日は琥太郎と豪の間に会話があまり無いまま昼食を食べ終える。


 豪からしてみたら初めての家なのだから、まだまだ手探り状態でもあるし、まだまだ警戒されている可能性があるから様子見の為だ。


 午後になると琥太郎はまだ子供だけあってか、昼寝させようと、


「琥太郎君。 琥太郎君は午後からって昼寝してるの?」


 と軽い気持ちで琥太郎に問うてみる豪。


「うん! 保育園ではしてるよ!」

「じゃ、お昼寝しようか?」


 そう豪の方は優しく言うのだ。


「でも……お家ではしてなーい……」


 その琥太郎の言葉に豪は頭にハテナマークを浮かべる。 多分そのままの意味ではあると思うのだが、お家ではお昼寝しなくて保育園ではお昼寝しているという意味なんだろう。


「……って、事はお家ではお昼寝しないの? それだとパパ大変なんじゃない?」

「だって、僕一人でゆっくり寝れないんだもん」


 まぁ、確かに例え昼寝でも一人で寝るのは寂しいから一人で寝れないという意味なんだろう。


「……パパを一人にさせておくと逆にうるさいからね。 僕が一人で寝てると色々な音がしてくるんだ。 ガッチャン! ドンっ! ってね」

「あ……」


 その琥太郎の言葉に豪は納得してしまう。 確かに慧はドジな人だから琥太郎が一人で寝ていると部屋内ではそういう物音がしてしまい琥太郎が寝れないという事だろう。


「じゃあ、今日は逆に家で寝れるんじゃないの?」


 と豪は人差し指を立てて提案してみるのだ。


「でもさぁ、今日は怖いんだ……」


 またまた琥太郎の言葉に豪はハテナマーク状態のようだ。

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