第2話 え?お部屋が散らかり放題!?

 しかし豪の方は、その琥太郎が言っている言葉に目を丸くしながら、その琥太郎が言った言葉を聞いていた。 しかし一体どういう事なんだろうか。 今、琥太郎は、この部屋の状態を『パパがやったんだ』と言ってなかっただろうか。 もし子供である琥太郎がやったんだって言うのなら、分かるのだが……。


 そう琥太郎に言われて豪は自然と辺りを見渡してみる。 すると琥太郎が言っていた言葉という意味が分かって来たのかもしれない。


 そう、もしこの床の状態が子供がやっていて、なかなか片付けられない状態だというのなら、普通、クレヨンやペンや工作やブロックやらが転がっていて、見た目からして子供が遊んで部屋の中がそれらでぐちゃぐちゃになったんだろうな。 というのが分かるのだけど、この床の状態を見ると、確かに琥太郎の言っている事は本当なのかもしれない。 そう床に散らばっているのは割れたお皿の破片にお酒を溢してしまったような染み、それを拭こうとしてバケツでも持って来たのか、バケツが倒れ更に絨毯は水浸しの状態である。


 確かに琥太郎の言う通り子供の仕業ではないような気がして来る。 そこで豪は、


「大丈夫ですよ。 私が後でここ綺麗にしておきますからね。 なので、立川さんはご自分のお支度等をして下さいね」


 そう優しく笑顔で言う豪なのだが、若干、立川親子が引いたような気がしたのは気のせいであろうか。


 確かに豪は家政夫さんだって事は分かったのかもしれないのだが、それでも強面の顔というのはまだ数回しか見てないのだから慣れてはいないようだ。


「それと、私は先ず何をしたら宜しいのでしょうか?」


 その豪の言葉に慧は顎に手を当てて天井の方へと視線を向けた直後、豪の方へと視線を向けて、


「あ! それでしたら、琥太郎を保育園の方に連れて行ってもらえませんか? もう保育園の方には昨日のうちに『明日から琥太郎は家政夫さんに連れて行ってもらいます』と言ってあるのでね」

「分かりました。 琥太郎君を保育園まで送ってくればいいのですね」

「はい! ありがとうございます」


 とは言ったものの、やはり琥太郎は強面な豪の事を警戒しているのか、ジッと豪の方へと視線を向けてしまったままだ。 こうも子供にジッと見られていると困ってしまっている豪。 暫く困ったよいな表情をしていたのだが、気付いた時には琥太郎から視線を離し後頭部を掻いてしまっていた。 豪は全然子供というのは苦手ではないのだが、子供の方から豪の事を慣れるまで警戒されるのは分かっている。 そう今までがそうだったのだから。 強面を直そうと思ってもそう簡単に直せる訳がない。 元からこういう顔をしているのだから、そこは仕方が無い所だろう。


 だけど子供から視線を離したからって豪と子供との距離が縮まる訳ではなく、豪の方はまだ琥太郎に近付く事はせず、その場にしゃがみ込み琥太郎の視線に合わせると、先ずは簡単に、


「お名前は?」


 と質問をしてみるのだ。

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