第3話

「例の案件だが」


 CIA長官が、エージェントのスティーブンに聞く。


「例の案件と言いますとチッピー・ルーヴェンの件ですか ??」


 顔色が、曇るスティーブン。


「あぁ そうだ

IRSからもHSIからも同様な捜査依頼が来ている」


 徐々に、問題が大きくなりつつある。


「いわゆる 武器の横流しですよね ??」


 チッピー・ルーヴェンは、ヒスパニック系で、彼自身はウランの横流しを出来るような勤勉なタイプではないが、なぜか容疑者になってしまっている。


「そうだ

それで 容疑は固まりそうか ??」


 そう言うと、デスクに寄っ掛かりコーヒーをすする長官。


「いえ 尾行を付けていますが まだシッポを出しません」


その頃


「なんなの

このグループは ??」


 ボールダーラ捜査官は、アロハシャツを着た4人グループが、気になってしまう。

 ウザい。


「あぁ オレの友人さ」


 オレが、軽い紹介をするとやんわりと手を振る3人。


「ちょっとイイか ??」


 オレの、そでを引っ張るコーネリアジ。


「おい なんでFBIなんているんだ ??」


 小声で聞いて来る。


「古い 友人なんだ

まさかだよ」


 ずいぶんと、会っていなかったが面影が全然変わらない。


「あのー

キミらは これからパーティかい ??」


 そりゃあそうだ。

 この街で、アロハを着た4人グループがいればそうなる。


「ああ そうそう

共通の友人の結婚式パーティーがあってね」


 イケメングラサンの、フィッチャーがそう言うと、


「おっ それはすごい

どこであるんだい ??」


 クチぶりから、参加しかねない。

 マズいな。


「あーー

ちょっと遠いんだ」


 やんわり、参加させまいとする。


「そうなんだ

それでーどこだい ??」


 しつこく、聞いて来るボールダーラ。


「オハイオだよ

コロンバス」


 適当に、場所を言ってごまかす。


「おお ぼくもそっちは行こうと思ってたところの通り道だよ」


 やっぱり、参加する気マンマンじゃあねぇか。


「ゲッ………」


 違う方向を、言っておけばよかったと後悔する。


「一緒に行こうよ」


 なんで、一緒に行きたいんだ。

 なんか、あやしい。


「いや オレたち車で」


 なんとか、ふり切ろうとするが、


「同じく 車だよー」


 ガッツリと、掴んで離さない。


「仕方ねぇって

途中で巻く」


 コーネリアジが、クチを手で覆って耳打ちする。


「よーし 楽しくなってきたぞ」


 少年のように、テンションの高いボールダーラ。


「こっちは 楽しくねぇバカ」


 悪態を、つくルーヴェン。


「えっ なにか言ったかな ??」


 後ろを、振り返るボールダーラ。


「いいや気にすんな

あいつは 持病のシャクがあってだな」

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危機一髪を救った男たち(セブンデイズ) なばば☆ @bananabanana1E

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