自転車操業

リボ払いにした事で安心した私はまだまだ買い物を止めなかった。いや、止めれなかった。

別に欲しいものは無いけど買わないといけないという強迫観念と強い使命感にかられていたから。

信じられないことにこの時点でリボ払いの利息がとんでもなく高い事をこのあたおか女は考えもしていない。

すると今までの金額が積み重なるので月々の支払いが面白いように上がっていく。

「あれ?なんか思ったのと違くね??ちょっとヤバいんじゃね???」

更に追い打ちをかける事が起こった。

カード利用額(ショッピング枠)が限度に達したのだ。

さすがにこのあたおかもこの状況になってようやく危機感を覚えた。少しだけ。

しかし月収は変わらないのでこのままでは支払いが出来ない。

支払いが出来なければ督促の電話が来ることを私は身を持って知っている。既に学生時代に実証済みだ。

普通ならその時点で貯金を崩す、ダブルワークなどで収入を増やすなどの手を講じると思うけれど、こいつには貯金が無い。

そしてこれ以上働きたくない。楽に稼ぎたい。それが本音。

これがダメ人間、というか人間として最下層の人間の考え方。

でも非情にも支払い日はやって来る⋯

そこでキャッシングをして支払いに充てることにした。もちろんリボ払いで。

そう、これが読んで字のごとく自転車操業ってやつです。

支払日が来る→支払いが出来ない→キャッシング(リボ払い)して返す→翌日の支払日が来る→支払いが出来ない→キャッシング⋯⋯終わりの無い蟻地獄。

この時点で既に月々の支払い請求額は月収を軽く超えていたけど、とりあえず払えているから悪びれる様子も全く無い。

またキャッシングをして返せばいい、それだけの事だから。


しかしこんな生活ももちろん長くは続かなかった。遂にキャッシング利用額も限度を超えたのだ。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る