リボとの遭遇

時は流れ私は30代になり、いい歳してまだフリーター。安定感という言葉とは程遠い生活を送っていた。なんならそれがかっこいいと思っていたけど明らかに頭がおかしい。

そして仕事のストレスなのか、長い沈黙を破り突然ドカ買いを始めた。もちろん素敵な魔法のカードで。


仕事帰りに何かしらの買い物をしないと気が済まない。えらいこっちゃ。

毎日必ず1万円以上の買い物をするのがルーティンになっていて、金額が1万円に満たないと謎の強迫観念にかられた。

「どうしよう、今日まだ1万円いってない⋯!買わなきゃ!!」

不安と謎の使命感。そして更に買う。

「よっしゃ、1万円いった!」

ようやく安堵する。これの繰り返し。

俗に言う買い物依存症ってやつです。

買い物依存症というと数十万単位での買い物をする人のことだと思っていたので当人にはその自覚は無いのが怖いところ。

でも1日1万円生活を出勤日数分してるわけで、単純計算でひと月約20万円。プラス諸々の出費がかさむ。

当時の月収は15万円程度。普通に考えたら完全にやばい状況だが焦ったりしない。なぜなら私にはある秘策があったのだ。

お分かりだろうか⋯


そう、リボ払い。


月々の支払いが定額になるという、夢のような裏技。言うなればラスボス。

これならいくら使っても毎月の支払い額は大した額にはならないはず。リスクを最小限に抑えられるという戦法だ。

良い子は真似しないでね(笑)






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