第8話 7日目 リゾートクラブ2日目

トラベル小説


 リゾートクラブの朝を迎えた。朝5時、私はクルマを走らせ、ドライブにでた。レンタカーを借りたのに、駐車場に置いてばかりいたのではもったいない。だが、アメリカの道はおもしろくない。ほとんどが直線路で、景色もほとんど変わらない。30分ほど走ってUターンしてもどってきた。すると、妻が起きていて、

「コーヒー飲みたい」

 と言われたので、フロアにあるコーヒーコーナーに行き、2人分のコーヒーを持ってきた。インスタントではないので、それなりにおいしい。

 7時には子どもたちも起き出して、7時半に朝食に行く。夕食と同じビュッフェレストランである。シェフが2人いて、あったかいスクランブルエッグとローストビーフを作ってくれる。朝からローストビーフとは贅沢である。インクルーシブシステムなので、料金を気にする必要がないのは、このリゾートクラブの良さである。もっともその分の料金は事前に払っているのだが・・・。

 9時からアクティビティ開始である。子どもたちは水着に着替えて、子どもプールに集合である。そこで、ゲームをしたり浮き輪に乗ったりして遊んでいる。インストラクターは英語なのだが、他の子がやっているのを見て子どもたちは真似をしているようだ。妻は、そういう子どもたちをカメラで追っかけている。

 本当は、子どもたちをキッズクラブに預けて、妻と二人きりになると思っていたのだが、その雰囲気はまるでなかった。

 そこで、私はゴルフ練習場に向かった。レンタルコーナーでハーフセットを借り、シューズも借りた。グローブは自前である。ヨーロッパにいた時に、日本人会のゴルフクラブに入り月1回のペースでコースにでていた。平均は90代後半。ベストは88である。練習場はただの野っ原である。そこに人工芝のティーグラウンドが横1列に並んでいる。好きなところにティーをさして打つシステムだ。ネットや柵は何もない。見渡す限りが練習場なのだ。そこに50ヤードごとに旗が立っている。6本立っているので、300ヤードが最長だ。ボールの回収をどうするのかよくわからなかったが、後でトラクターを改造したボール回収車があるということがわかった。

 何発か打っていると、スライスばかりしている。しばらくぶりのゴルフなので体のきれが悪いのだろう。すると、インストラクターらしき男性がやってきて、

「 Left foot more inside .」

 とか言っている。それで左足を少し内側に向けると、ボールがまっすぐ飛んでいった。

「 Thank you . 」

 と言うと、彼は仲間のところに行って、何やら自慢している。どうやら俺のコーチングのおかげだと言っているようだった。

 1時間ほど練習して、プールに戻ると、妻が駆け寄ってきて、

「見て、見て、子どもたちダイビングの練習をしているのよ」

 と子どもプールを指さす。浅いところだが、たしかにダイビングの装備をつけている。マスクと酸素ボンベをつけているのである。

「ダイビングって今日じゃないだろ」

「そうなんだけど、ダイビングの日は深いプールに行くんだって、今日はその練習だって・・」

「へぇー、すごいね」

 と私もしばらく子どもたちの様子を見ていた。

 11時半に午前の部終了。午後は2時からである。早めの昼食をとり、1時間ほど昼寝の時間をとった。子どもたちは相当の体力を消耗をしている。

 2時にキッズクラブに行くと、ボートツアーということで、10人乗り程度のボートででかけていった。もちろん救命具をつけてである。見送った後、大人用のボートツアーもあるということで、私たちもそれに乗ることにした。こちらは20人乗りの大き目のボートである。もちろん救命具をつけてある。

 ボートは運河をすすむ。運河のまわりは別荘街である。各々の家に小型ボートがつながっている。平屋の家がほとんどで、津波の心配がないのかと思ってしまった。奇妙なのは、すべての家に1mほどの高さの頑丈な柵がある。獣対策だということだが、走っていてそれがわかった。船頭が銃を構えて、その獣に向けて撃ったのである。ワニである。まるでジャングルクルーズである。(周りは別荘街であるが)気づかないと、ボートが襲われることもあるという。妻が

「子どもたち大丈夫かしら? ワニに襲われていないといいけど・・」

 と心配している。降りるまで、その顔が続いていた。1時間ほどで到着。子どもたちはすでに着いていて、保護者への引き渡しを行っている。妻は子どもたちに抱きつき、

「大丈夫だった? ワニにおそわれなかった?」

 と聞いている。子どもたちは

「大丈夫だったよ。陸地にはいたけど」

 と圭祐が応えると、祐実が

「ママ、人魚がいたんだよ」

 と言う。そこで圭祐が

「ばかだな。あれはマナティという魚だよ。イルカの仲間だよ」

 とお兄さんぶっている。ともあれ、妻は一安心である。

 夕食は、またもやビュッフェレストランである。日本食は天ぷらがでていた。かぼちゃの天ぷらがおいしかった。K国料理はサムゲタン、C国料理は小籠包だった。どちらも本場に負けない味で、今日もお腹いっぱいになってしまった。

 夜は、プールサイドでカクテルタイム。昨日飲んだチチコラーダがおいしかったので今日もそれを飲んだ。バーでは今日もカラオケタイムだ。昼間、ゴルフの練習場にいたインストラクターの男性がマイクを握って騒いでいる。どうやら彼が、カラオケタイムを仕切っているようだ。

 2日目終了。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る