第6話 5日目 ユニバーサル・スタジオ

トラベル小説


 今日はディズニーワールドの隣にあるユニバーサルスタジオに向かう。ハリーポッター好きの妻のリクエストである。ホテルからタクシーで向かう。ロンドンタクシーのイエローキャブ版である。家族4人がゆったり乗れる。1時間ほどで到着。料金はチップ込みで60$だった。

 入場口には長蛇の行列。チケット売り場にはさほど並んでいないのに、どうしてかと思ったら15分前にエントランスがオープン。ぞろそろ多くの人が入っていく。私たちはそれを横目で見る羽目になった。どうやら近隣のホテルに泊まっている人たちで優先チケットをもっているみたいだ。

 9時にチケット売り場がオープン。ハリーポッターをすべて見るためには2パークチケットを買わなければならない。4人で8万円ちかく取られた。

 まずは人気のハリーポッターの世界へ。一番新しいダイアゴン横丁に向かう。ロンドンの街並みが再現されている。大きなドラゴンが時々火を噴いている。日本では不可能なアトラクションだ。そして、グリンゴッツからの脱出に並ぶ。すごい人だ。フロリダに来て初めての大行列になってしまった。1時間ほど待って、コースターに乗車。映画のシーンさながらにロンドンからの脱出劇がすすむ。喜んでいるのは妻だけで、子どもたちは青ざめている。子どもたちもハリーポッターのビデオは見ているのだが、正直気持ち悪いと思っていたようだ。たしかに雰囲気は暗いところが多い。

 そこを出て、早めの昼食をとることにした。ここも暗い雰囲気のレストランだ。ビュッフェスタイルだが、注文するとあたためたものがでてくる。ホテルの棚からとる方式とは違う。だが、内容はイギリス料理なのでマッシュポテトとかソーセージ、魚のフライとしかがない。子どもたちは悩みながら注文していた。妻と私はバタービールもオーダーした。

 席について食べ始める。私がバタービールを飲むと、口のまわりに泡がついた。それを見て子どもたちは喜んでいる。しっかり写真に撮られた。これで、雰囲気が少しよくなった。でも料理の味は微妙だった。

 次に向かったのはキングス・クロス駅である。ここで2パークチケットを提示しないと入れない。ハリーポッターで有名な9と3/4番線があるという。壁に向かってカートをおしていくと、通り抜けるというシーンを再現しているというが、ただのカーテンをくぐるだけであった。ちょっとがっかりである。でも、そこを抜けると映画のシーンそっくりのホームがあった。そしてホグワーツ特急に乗車である。客車は全てコンパーネント方式で、家族4人が向かいあって座れる。これもハリーポッターの映画そのままだ。通路のドアがしめられ、列車が動きだす。実際に動くのである。その場で動くのではなく、確かに前進している。ただ、窓から見える景色のスピードと実際のスピードは大きく違う。窓から見える景色はスクリーン映像である。おもしろかったのは、通路側で人の話し声がし、人のシルエットが通り過ぎる。まさに映画のワンシーンだ。でも、子どもたちはポカーンとしている。パパとママがどうして喜んでいるのかわからない。という顔をしている。

 10分ほどで、ホグズミード村に到着する。もともとのユニバーサルスタジオであるアイランズ・オブ・アドベンチャーにきたのである。めざすは、ハリーポッターと禁じられた旅である。USJにもあるが、こちらは行列が少ない。30分ほどで入ることができた。ディズニーワールドのソアリンと同様の360度スクリーンである。でも、こちらは魔法の杖にのってハリーポッターの世界をめぐる。スリル感ではこちらの方が勝ちかもしれない。でると、妻が

「もう一回乗りたい」

 と言い出した。まぁ、待ち時間が少ないからいいかと思ったが、子どもたちは露骨にいやな顔をしていた。でもママにはさからえない。わが家の権力者だからだ。

 終わってから、隣にあるヒッポグリフのコースターに乗った。こっちは子ども向けなので、キャッキャッと喜んでいた。私はカメラマンに徹した。妻も子どもたちのご機嫌がよくなったので、安心したのだろう。そこから買い物タイムが始まった。ユニバーサルシティウォークというショッピングストリートに行くことになった。最初の1時間はいっしょに歩けたのだが、あっちへ行ったり、こっちへ行ったり、あげくには同じところにもどるということで閉口してしまい、圭祐とベンチで休んでいた。こうでもしないと妻のショッピングは終わらない。でも、お土産買いに夢中で結局1時間そこに座っていた。圭祐は持ってきたゲーム機で遊んでいる。今の子はこれだから・・・と思うが、自分も子どもだったらそうするなと思ってしまった。

 夕方になり、早めの夕食をとることにした。歩くのがいやなので、近くのピザ屋さんに入ることにした。4人でビッグサイズを1枚。コーラがやたら大きい。ミドルサイズを頼んだのに、日本のLサイズと同じなのだ。スモールサイズでよかったかもしれない。ピザはおいしかった。子どもたちも喜んで食べていた。

 帰りもタクシーでホテルへ。着いた時には暗くなっていた。明日はチェックアウトしてリゾートクラブへ移動である。片づけが終わってから、圭祐と百味ビーンズの味見をした。説明書を見ないで、一粒ずつ食べていく。最初はおいしかったが、3粒目に苦い味がした。そこで説明書を見ると「鼻くそ味」だった。ハリーポッターの親友ロンの渋い顔が目にうかんだ。

 5日目終了。

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