第3話 怪人の攻撃で危機一髪?

「危ない!」

 怪人がロープを振り回し、ホワイトウォッチーズに襲い掛かった時、思わず私は観客席から叫んでしまった。

 しかし彼女たちはひらりと避けたのだ。身をかがめて、間一髪のタイミングで。

「うわっ!」

「お姉ちゃんたちすごい!」

 周囲の子供たちも喜んでいる。

 怪人は次から次へと攻撃を繰り出す。しかしホワイトウォッチーズは、それをことごとく避けたのだ。

 時には体を反らし、時にはミニスカートを揺らしながらジャンプして。

「おおっ!」

 めくれるスカートから白いアンダーウェアが露わになる。まあ、あれは水着かレオタードだと思うけど。しかしこれには、お父さんたちの視線が釘付けになった。

 次第にホワイトウォッチーズは、怪人の攻撃に合わせてダンスを開始する。と同時にホワイトウォッチーズの『二人が重なる刻』も流れてきた。これはハイテンポな曲で、気分を上げてくれる名曲なのだ。やがてダンスに合わせた攻撃が繰り出され、悔しそうな様子で怪人は退散した。

 ステージの締めくくりは『君の秒針になりたい』のパフォーマンス。こちらはゆっくりとしたバラードだ。私的には大満足のステージだった。

 ていうか、これってヒーローショーじゃないよね。あえて言うならヒロインショーじゃね?


 病みつきになった私は、次の週も観に行ってしまう。

 が、その回はちょっと変だった。

 怪人からの攻撃の避け方が、なんだかバラバラなのだ。先週はタイミングバッチリだったというのに。

 会場からも「ああっ!?」とか「危ない!」とか、彼女たちを心配する声が上がってしまう。

 すると恐れていたことが起きた。バランスを崩してシルフィさんが転んでしまったのだ。

「避けて、シルフィさん!」

 私の叫びもむなしく、怪人が繰り出すロープはシルフィさんに襲い掛かった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る