第三十一話 復活のアルミナス

「……ここはどこだ? 妾(わらわ)は、絶対無敵ロボ アポロンカイザーに倒されて死んだはず。この不思議な空間は……」


 妾の名は、全銀河全滅団の首領女帝アルミナス。

 全銀河の征服を目論んだが、その本拠地としようとた地球の野蛮な原住民どもと、奴らが操る絶対無敵ロボ アポロンカイザーにより阻止され、ついには殺されてしまった。

 あれだけの機械大人、機械魔獣を率いていたにも関わらず、妾は無念にも未開な地球人が操る一体のロボットに倒されてしまったのだ。

 その無念たるや。

 必ず蘇って全銀河を征服してやると、強く誓いながら意識が消滅したと思ったら……。


「生きている……。妾の無念が天に通じたのか?」


 死んだと思ったら生き返った。

 妾は再び、全銀河系征服に挑むことができるのだ。

 こんなに嬉しいことはないのじゃが……。


「だいぶ妾の体も縮み、力も落ちてしまったものよ……」


 蘇った代償なのかもしれぬ。

 そして妾が立っているのは一面氷の世界。

 生物居住型惑星の極点近く……南側の極地に妾はいるようだ。


「あれは?」


 続けて、妾に襲いかかろうとする白い毛皮に覆われた生き物の存在を確認した。

 このような生物が出現するとは、ここはなかり未開の星らしい。


「妾を食らうつもりか? 野蛮な未開惑星の下等生物の分際で!」


 いかに体が縮み、力が落ちようとも、たかだか全高五メートルほどの下等生物に殺される妾ではないわ!


「『破砕絶風(はさいぜっぷう)』!」


 たとえ力が落ちていようと、下等生物など簡単に打ち砕ける。

 哀れ、白い毛皮の下等生物は原子単位にまで粉砕されてしまった。


「脆いな……あれは?」


 妾の『破砕絶風(はさいぜっぷう)』を食らって、体の一部でも残る生物などいるわけなどないか。

 生物の体の強度には限界があるからこそ、妾は全銀河系征服のために機械大人、機械魔獣を生み出す秘術を生み出し、自らの体にも改良を施したのじゃから。


「これは宝石? いや、純粋なエネルギーの塊のようじゃな」


 この石が、今砕いた下等生物の強化に役立っていたようじゃ。

 それにしても不思議なものよ。

 なぜこの石は妾の攻撃を食らっても壊れぬのだ?


「たまたまこの個体にだけ備わっていたものなのか? 検証する必要があるの」


 この不思議な石。

 なにか役に立つやもしれぬ。

 他にもその辺の下等生物を殺してみて、確実に手に入るのか検証してみよう。




「なるほど。この地に住む下等生物は、すべてこの石を体内に蓄えておるのか」


 しばらく夢中になって下等生物を砕いていたら、随分と沢山の石が手に入った。

 あらためて調べてみると、純粋なエネルギー体であるようじゃ。

 じゃが、このようなエネルギーは全銀河を駆け巡った妾でも見たことがない。

 未知のエネルギーということか。


「高純度のエネルギー体であり、固体の状態を保っているが、無機物ではない。ゆえに、どのような衝撃を与えられても砕けぬのか……試してみるかの」


 これほどの高エネルギーなら、復活後体が縮み、大幅に力が落ちた妾を元に戻せるやもしれぬ。

 試しに石を一つ食べてみると……。


「おおっ! 力が沸き上がる! これは素晴らしい!」


 なにより、これまでに味わったことがないほどの美味ではないか。

 妾は夢中になって、集めた石をすべて食べてしまった。


「ふう……なんという美味! 体中にエネルギーがみなぎる! 体も少し大きくなった!」


 妾はすべて理解した。

 この石を大量に食らえば、妾は最盛期の、いやそれ以上の体の大きさと力を取り戻せるのだと。


「方針は決まった! 下等生物たちを狩って得た石を大量に食らうのじゃ!」


 それからどれだけ時間が経ったであろうか?

 妾は多数の下等生物を粉砕し、その体内にあった石を食らって大きさと力を取り戻していった。

 だが、どうも最近成長がまったく見られない。

 ただ石を食らうだけでは、成長に限界があるということなのか?


「わからぬ……情報を集める必要があるのか」


 とにかく、最盛期の大きさと力を取り戻すことこそが肝要だ。

 妾はコンタクトできる下等生物を求めて北上をすることにした。

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