第八話 ゴーレム

「かなり北方にある『リンデル山脈』。ほぼ岩しかないが資源の宝庫である。だが、資源の採掘は非常に難しい。なぜなら……」




 今日はランドーさんの紹介で、かなり北方にある山脈の近くにいた。

 ろくに草木も生えていない岩山だが、ここは各種鉱物資源の宝庫らしい。

 でも、鉱石の採掘は非常に難しいそうだ。

 なぜなら……。


「巨大ゴーレムの巣だからか……デカいな」


 全高五~十メートルほどの岩の巨人の群れに襲われながら、鉱山経営できる猛者はそういないはずだ。

 ここに到達するまでにも、アイアンタートルやマッドウォーターカウ他、大型で強力な魔獣の群れと戦わなければならないのだから。

 優秀なハンター個人がここに到達できても採掘なんて不可能とは言わないが、一度に獲得できる資源の量などたかが知れている。

 優秀なハンター全員が、必ずしも『アイテムボックス』のスキル持ちではないのだから。

 むしろ『アイテムボックス』持ちは、優秀な人ほど戦闘力がなかったりするそうだ。

 多くの荷物を運べるメンバーを、戦闘要員で守るような形になってしまう。

 『アイテムボックス』持ちがいないと、遠征して強い魔獣を倒しても、魔石くらいしか持ち帰れないので、俺くらい数を倒さないと遠征した意味がなくなるという。

 俺の無限ランドセルは、数少ない例外というわけだ。


「うわぁ、沢山いるなぁ……」


 様々なゴーレムがいるのだけど、基本岩の巨人なのでどれを倒すと美味しいのかわからないな。

 ランドーさんによると、ゴーレムを構成する岩が鉱石だそうだが、どの資源がどのくらい含有しているのかは、実際に精製しないとわからないそうだ。

 素材の査定がかなり遅くなる魔獣で、しかもこんな遠方から重たい鉱石を持ち帰ったのはいいが、価値のある鉱物が含まれていなかった。

 なんてこともよくあって、つまり人気がないわけだ。

 ゴーレムが大きければ、必ずいい鉱物が含有しているというわけでもないらしい。


「運要素がかなり大きいな。俺はただ倒せばいいけどね」


 カイザーパンチ、カイザーキック、カイザーアイビームにより、次々とゴーレムが倒れていく。

 カイザーアイビームも、ゴーレム相手ならかなり有効というか、そこまで原型が崩れなかった。

 ただし……。


「ミサイル、使えねえ!」


 やはりゴーレムの体がバラバラになってしまい、鉱石を拾うのが面倒だ。

 今回も、ミサイルは役に立たなかったな。


「倒せるだけ倒して戻ろう」


 俺は今日も夕方までゴーレム退治に精を出し、大量の鉱石を持ち帰ることに成功したのであった。





「予想どおりです! 実に素晴らしい!」


「基本岩だからね。砕いても問題ないし」


「ですよね。よかったぁ……でも、申し訳ないんですけど……」


 ゴーレムを構成していた鉱石の査定は、実際に精錬しないと金額が出せないそうだ。

 金とかプラチナなどが含まれていたらいいなと思いながら、俺は魔石のみの代金をまず受け取ったのであった。

 ゴーレムの魔石は、一個十万リーグで売れたからいいけどね。

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