32 クリスマスプレゼント
放課後。私は待ち合わせ通りに上月くんと校門前で合流。
そして私達は上月くんの用意してきたデートプランに則り、東京スカイツリーへと向かった。
「まだライトアップには少しだけ時間が早いみたいですね」
「そうだね……中で少しウィンドウショッピングでもしますか」
「はい。そのように」
私達はスカイツリーお膝元のショッピング施設――東京ソラマチへと足を踏み入れた。
アクセサリーショップなどを巡る私達。
そんな中、ぽつりと上月くんが言った。
「実は……まだ藤堂さんへのクリスマスプレゼントを決められてなくて……だから二人で選んだらいいかなって、駄目ですか?」
「そうなのですね、分かりました。それでは選ばせて頂きます」
まだクリスマスプレゼントを決めていなかったのか。
ちょっと残念ではあるが仕方がない。
私が欲しい物を手に入れられるのだから文句は言うまい。
そう思いつつ、私は「予算はおいくらくらいでしょう?」と丁寧に問うた。
「1万円以内でよろしくお願いします!」
上月くんが苦笑しながら言い、私は「分かりました」と首肯する。
アクセサリーショップを見ていたが、どうやら予算不足らしい。
ならばと雑貨屋へと足を伸ばす私。
帽子、かんざし、財布、時計などを見るがどれもしっくりこない。
なんなら服でも買おうかと服も見るが、これも冬物の良いものは既に売れた後なのか碌なものがなかった。
フロアガイドを見ていたところへ、上月くんが提案してきた。
「この手作りアクセサリーショップなんかどうでしょうか?」
「手作りアクセサリーですか……良いですね、行ってみましょう」
手作りアクセサリーでシルバーやダイヤなどの宝石ではなく、クリスタル素材などのものを選べばお安く済むはず……そう思いつつ、私達は手作りアクセサリーショップへと向かった。
手作りアクセサリーショップでは様々なアクセサリーパーツが揃い踏み、その場で自作できるようになっている。私は一定のパーツの組み合わせであるレシピを手に取る。
ネックレスが欲しかったが、この手作りアクセサリーならば予算はなんと5000円弱で揃いそうだ。
私は紫色に輝く大きなクリスタルを見つけると、手に取った。
その輝きに魅せられた。
店員さんに聞く。
「すみません。こちらのクリスタルを使ったネックレスのレシピはありますでしょうか?」
「はい。ございますよ。こちらをどうぞ」
レシピを確認する。
大きなクリスタルともう一つ小さな白色のクリスタルとを組み合わせたネックレスらしい。
残るパーツは四角いシルバーの石座ビーズが2つとデザインバチカン、それにカニカン・アジャスターセット、チェーン、Tピン、接着剤などで構成される。
材料価格を確認するとなんと4000円弱だ。
私はもうちょっと高くても良いと思ったので店員さんに聞いた。
「すみません。こちらのレシピでチェーンをシルバー925のものに代えられますか?」
「はい代えられますよ。1000円ほど高くなりますがよろしいですか?」
「はい。それでよろしくお願いします」
シルバー925とは銀92.5%で他の金属との合金になっているシルバー素材だ。
スターリングシルバーとも呼ばれる。
私はそれが良い物だということだけをとある本で読んで知識として知っていた。
「それではこちらの金額になります。こちらでお作りになられますか?」
「はい。よろしくお願いします」
「かしこまりました、制作スペースは自由にお使いください」
店員さんに上月くんがお金を支払い、私達は制作スペースへと向かった。
「クリスマスに二人で手作りするだなんて思ってませんでした」
上月くんがそう言って微笑む。
「はい。私も思っていませんでしたが、上手くいけば良い物になりそうです」
レシピはできるだけ簡単そうなものを選んだので大丈夫だろう。
きっと良い物になるに違いない。
そうして私達は二人で試行錯誤しながら、1時間ほどでネックレスを完成させた。
上月くんに付けてもらい、鏡で確認する。
大きめの四角い紫色のクリスタルと小さめの四角い白色のクリスタルが石座に載ったシルバーネックレス。
それが爛々と私の制服の胸元で輝いていた。
「良いですね、綺麗だと思います」
と上月くん。
「はい。私も気に入りました」
私も彼にそう答え、少し長くなってしまったプレゼント選びのショッピングを終えた。
手作りアクセサリーショップを出た頃には、時刻が18時半を回ろうとしていた。
私達二人は急いで映えスポットであるクリスマスツリー前で二人で記念撮影すると、外へ出た。
プレゼントが安く済んだので展望台に登ることも考えたが、しかしクリスマスイヴだということで混雑を考えて諦めることにした。
外へ出るとライトアップされたスカイツリーが一応ながら確認でき、辺りが恋人達で満たされた空間であることに嫌でも気付かされる。
「綺麗ですね」
ライトアップされたスカイツリーを見上げて上月くんが感想を述べ、私が「そうですね」と応じる。
私達はそんなスカイツリー直下を離れ、私の自宅へと向かった。
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