第8話

「久し振りっ! 元気だった?」

 施設に入ると、横から声を掛けられた。

 聞き覚えのある声。

……もしかして……。

 声のした方を向くと、ポニーテールのコが手を振り笑顔で立っていた。

……やっぱり!

 今日、会う事になっていた友達。

 霧恵ちゃんだった。

「元気だよぉ! 久し振り~!」

 霧恵ちゃんの方に歩み寄りながら、返答した。

「どれくらい? 三ヶ月振り、くらいだよね?」

「そんな感じだよぉ。早いよね!」

 霧恵ちゃんの再びの問いに、曖昧に答えた。

「ワンシーズンか~。何か変わりはあった?」

 何気なく共に歩き出すと、霧恵ちゃんが尋ねてきた。

「う~ん。あまり変わらないかもぉ。ただ、寒くなってきたかなぁ……って」

 腕を組み、少し考える素振りを見せてから答えた。

「そうだね。もう夏じゃないし、すぐに冬だよね」

 二人で顔を見合わせて、しみじみと頷き合った。

「……あれ? そういえば、今日は学校ないの?」

 霧恵ちゃんが思い出したように尋ねてきた。

「ん? あるよぉ。今日は四講目だけなんだぁ。霧恵ちゃんは?」

 右手の指を四本立てて、そう答えると、質問で返した。

「へへ、私は自主休講!」

「あ~! いいのぉ? 大丈夫なのぉ?」

 笑って答えた霧恵ちゃんを困り顔で見据え、そう言った。

「大丈夫大丈夫! ……ところで、何時まで大丈夫なの?」

 私の心配を軽く受け流した霧恵ちゃんが質問で返してきた。

 それに応えるため、溜め息を吐きながら、バッグから携帯を取り出し、表示された時刻を確認する。

「もぉ……えーと、ここから学校までは歩いて十五分ぐらいだからぁ……三時半までは大丈夫だよぉ」

 そう答えると、携帯電話をバッグに仕舞った。

「よし! それなら、三時間近くは遊べるね! ……じゃあ、まずは」

「カラオケっ!」

 そう言って、霧恵ちゃんの言葉を遮ると、その手を引いて、カラオケコーナーへと向かった。

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