第7話
「ゲームセンター? カラオケじゃないのぉ?」
昼頃。
自宅近くの大きな通り。
翔子ちゃんの家から帰ると、着替えを済ませ、またすぐに出掛けた。
友達に会うため。
そして、水香さんとの約束を果たすため。
マンションの噂……。
その詳しい内容を今から聞きに行く。
「そうかぁ……わかったぁ……じゃあ、後でね~!」
通話を終えると、肩から掛けたバッグの中に携帯電話を仕舞った。
……キリエちゃんと会うのは、久し振り!
これから会う事になっている友達。
【森口霧恵】
高校性の頃からの友達の一人。
大学生になってからも、連絡は取り合っている仲で、頻繁にではないけど、会って遊んだりもしている。
その霧恵ちゃんに、マンションの噂について教えてもらうことになっている。
そして、そのまま遊ぶことにもなっていた。
……歩いて……十分ぐらいかな……。
待ち合わせ場所のアミューズメントセンターは、自宅から割と近くにあった。
高校生の時から、よく利用していたお馴染みの遊び場。
だけど、最近は全くと言っていいほど、その施設に行くことがなかった。
……最後に行ったのは……いつだっけ?
青空を見上げ、記憶を巡らしてみた。
そして、思い出されたのは、二ヶ月前のこと。
夏休みに入って、ちょっと経った頃。
……そうだ!……水香さんと一緒に行ったんだ!
ふと、楽しい思い出が蘇った。
カラオケ。
クレーンゲーム。
プリント写真。
……楽しかったなぁ……また、一緒に遊べるかなぁ……。
徐に、バッグからスケジュール帳を取り出すと、最後のページをめくった。
そのページには何枚ものプリント写真が貼られていて、中から目当ての一枚を眺めた。
……水香さんと撮った……唯一の写真……。
この写真を見ると、どこかやる気が湧いてくる。
私の傍らに写る、目指すべき存在。
身近にそんな人がいるということ……。
……私は、恵まれてるなぁ……。
ふと、他の写真に視線を移すと、これから会う霧恵ちゃんと私が写っていた。
「本当に、久し振り」
そう呟くと、スケジュール帳を閉じて、バッグに仕舞い、歩みを速めた。
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