狂愛

リア充を後ろから刺す者

第1話「ヒトメボレ」

4月の初まり、僕は桜の咲く道を歩いていた。

今日は高校最初の日これからどんな日々を送るのだろうかと思いを馳せていた時、後ろから声を掛けられた


「すいません!そこの人ハンカチ落としましたよー!」


僕は親切な人もいるもんだなと思いながら後ろに目をやると衝撃で声を失った。

肩に少しかかるくらいの綺麗な黒色のミディアムヘア、ぱっちりとした目、血色のいい唇、そして頬にあるそばかす。運命だ。そう言わざるを得ないほど僕は一目みた瞬間から相手に惹かれていくのがわかった。

僕は今日生まれて始めて一目惚れというのを体験した。


「……あぁ、わざわざ拾ってもらってありがとう」


僕は動揺を見せることなく言えただろうか。心拍数が急激に上昇していくのがわかる。


「いえ、全然大丈夫ですよ!それよりあなたも新入生ですか?」

「うん、ぼくも新入生だよ、これからよろしくね」

「よろしくお願いします!あ、僕は早乙女碧(さおとめあおい)っていいます!あなたのお名前はなんて言うんですか?」

「僕の名前は九度涙(くとびるい)っていうんだ、せっかくの新入生だし敬語とかなしで呼び捨てでいいかな?」

「わかった、今日からよろしくね!!あ、もう少しで入学式だからそろそろ歩こ!」


早乙女が歩き出し僕はその横をついていく。自分の頭に色々な考えが出てくる。退屈しなそうな高校生活になりそうだやら、同じクラスだったらいいななど、そんな思いが頭を巡るが、一際強い思いを確認して生きづらい世の中だよと心のなかで苦言を漏らした。


「………………美味しそうなカラダだなぁ……♡」

「なにか言った?」

「いや、何も言ってないよそれより急ごうか」

「あ、ちょっと!待ってよー!!」

「はは笑、早くこないとおいてくよー!」


僕はそんな自分の気持ちを振り切るように走り始めた。この時すでに恋ではなく”愛”になりつつある自分の心を自覚しながら

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狂愛 リア充を後ろから刺す者 @nadoufu9

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