今作、赤ずきんは町に出て来ている。さらに、暴漢に追われている。童話にはなかった疾走感のある展開から始まるこの話。だが――読者は思い出すことになる。赤ずきんの世界観、あの登場人物を。読者は思い知ることになる。この作品の著者が「浬由有 杳」であり、やはり油断など出来ないことを。登場人物の表情や夕闇の描写も必見。短いのに満足感のあるお話です。