夢から覚めて

 GWも明日で終わり、となった五月五日。明日は振替休日で休み。桜屋敷を発つ準備をしてから朝食を摂る。

「瑠永さま、志弦さま、はいこれ」

 食べ終わって食事処を出る前に作り置きが入った風呂敷を渡された。

「ありがと〜」

「ありがとな」

「ゆかりさまはなにも作らなくて良かったの?」

「うん、いいの。ありがと」

「容器と風呂敷の返却は無用だからそれぞれのお家で使ってね」

「わかった、ありがとう」

「承知、感謝」

「ごちそうさまでした」

 使用人に深々とお辞儀をしてその部屋を出た。

「桜屋敷も今日が最後かぁ〜!」

「楽しかったねぇ」

「お前は向こうでもぶっ倒れるなよ?」

「善処する〜」

「ったく、ただでさえ向こうでも寝不足そうなのに」

「あれは、いろいろあるんだよ!こっち来てから熟睡できたもん!」

「志弦さま、瑠永さま、うちで養われます?」

「そのときはゆかりも一緒で」

「なんか勝手に巻き込まれてる」

「お前だけ免除とかねぇから」

「いつでも大歓迎」

「さーすが、桜屋敷…」

 部屋で荷物をまとめてから身支度をする。

「お世話になりましたー!」

「お世話さまでした」

「ありがとうございました」

「お気をつけてお帰りください。またのお越しをお待ちしております」

 見送りに来たあまり年が離れていなそうな若いお姉さんに子供のように手を振って一時間に一本のバスに間に合うよう、屋敷を後にした。

「いまの人、若かったね」

「えっと、天音さん。確か二十歳くらいだったような…?」

「わっっか!」

「え、大学とかは?高卒すぐ屋敷勤務?」

「高校でバイトとして来てそのまま正式採用だったっけ?大学は通信だっけ、わかんないや」

「ほ〜?」

「ちょっと歳の離れたお姉ちゃんって感じ」

「あ、来たよ」

「じゃあまたね〜ばいばーい!」

 三人は駒ヶ丘行きのバスに乗り込んだ。

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