第19話 幼女の兵法

そして迎えた金曜4限。

俺達は例のだだっ広いグラウンドに駆り出されていた。

俺はルイーズ・ドレッセルと言う女子生徒と対戦する事になったが、生憎10番目、大トリのカードなっちまった。

それまでは適当に観戦と行かせてもらうか。


俺の興味を引いたのは6戦目に登場した、ゲリット・ジャッジと言う少し大人びた少年だった。


「これで終わりだ。ドラゴンウェーブ」


龍魔法の使い手は希少価値が高い。

魔法と言うのは基本となる火・土・水・風・氷・雷の六大属性に光と闇を加えた計8属性がベースとなるものだ。

そこから外れた「龍」系統や「毒」系統などと言った特殊な魔法は適合者が少なく、対策も難しいってワケだ。


因みにビアンカとリュッチェンスは普通に負けてた。ドンマイ。


「それでは最後の対戦です。シャーロットさん、ドレッセルさん、前に出てください。」


相手は女の子。少し気が引けるが…。


「それでは、初め!」


「先手必勝、ですわ! 水属性魔法・中級 ウォータースプラッシュ!」


弾けるように水塊が俺へ向けて打ち出される。流石にびしょ濡れになるのはごめんだ。吹き飛ばしてやるか。


「ダウンバー


「これだけでは終わりませんわよ!氷属性魔法・上級 フロストショット!」


なんと。俺に覆い被さろうとしていた大量の水が凍結してしまった。

冷気による攻撃に加えて瞬時に氷の檻を作り出し、俺の動きを封じて外から大きな炎の一撃でも叩き込む算段か。こりゃあ未来の参謀将校の卵だな。…だが


「氷壁は内部から破れば良い。ウルトラソニック!」


俺の周りへ氷が砕け散る。


「そんな…あんな威力の超音波を…。」


「チェックメイトだ。お嬢さん。」


愕然とする彼女の喉元に光の剣を突きつけ、模擬戦終了を告げる笛が鳴った。

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転生ロリの人生リトライ yg @usuimishiro

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