第16話 純白のご令嬢

「そうだけど…君は?」


「わたしはビアンカ・ヴァインライヒと言います。えっと、試験で戦ってるシャーロットさんを見てかっこいいなと思って…仲良く出来たらと…」


成程な。確かに攻城弩砲バリスタを扱える同級生は他に居ないだろう。俺は気になる存在なのかも知れん。


「私、知り合いとか居なくて、友達が出来るか不安だったんだ。声を掛けてくれて嬉しいよ。宜しく、ビアンカ。私の事はリーゼって呼んで欲しいな。」


「…はい!宜しくお願いします、リーゼ!」


その後俺はビアンカと他愛もない会話を交わし、学院初日のオリエンテーションを終えた。結局ビアンカは俺以外とは全く話していなかったが良かったのだろうか。


「お帰り、リーゼ。どうだった?お友達は出来そう?」


「うん。1人話しかけて来てくれたよ。ビアンカ・ヴァインライヒって子。」


「ヴァインライヒと言うと…、高級将校や一流の魔術師を何人も輩出してる名門ね。凄い家の子と仲良くなったじゃない。流石私のリーゼちゃん♡」


「ちょっと、抱きついてこないで…。」


流石にフランツのお家柄事情には詳しくないが、ビアンカも相当な名家の出らしい。シャーロットの名を気にする素振りが無かったのも頷ける。

それにしても、エリナにそう言った知識があるのは意外だ。余程有名なのだろうか。


「リーゼは賢過ぎるから同世代の子達の中で浮いちゃわないか心配だったのよね〜。」


「え…わたしってそんな気取った様に見えるかな?」


「昔から凄く聞き分けが良い、と言うか良過ぎるくらいだもん。何か考えてる時の、どこか遠くを見ているような顔も可愛いけど♡」


「だから抱きついて来ないでって〜…。」


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る