第6話 和を以て貴し
「ふぅ……。マジで疲れたな、下山する体力が残ってるのか怪しい…。」
何とか頂上まで辿り着き、少し開けた場所を見つけた俺は辺りを見渡していた。
街の殆どの建物は赤いレンガで造られている。これは恐らく、ツェントルム大陸南部の国々でよく見られるやり方だな。やっと俺が今どこに住んでるのか大まかに掴めた気がする。
因みに俺が前世で最後に滞在していたのはツェントルム大陸北部プロレタリア連邦、ここからは恐らく5000kmは離れている。世界最大の大陸の広さは伊達ではないのだ。
「……ん? あれは……まさか。」
物思いに耽っていた俺の目に飛び込んで来たのは、街の郊外から迫り来る魔物の群れだった。所謂スタンピードと言うヤツである。
稀に地脈や竜脈の影響を受けた特定の魔物が短期間に大発生し、大群となって押し寄せる事がある。今回発生しているのはパルヴスウルフ、数は500は居るな。他のウルフ種と比べれば小型で単独ならE+級と脅威にならない魔物だが、ここまで増えると話は別だ。それに奴らは同族同士で上手く連携を取る。こう言った大量発生した際に真価を発揮するタイプなのだ。対応するには正規軍の力が必要になるだろう。
「どうする…?既に非常事態を知らせる煙が上がっている。街のヤツらは気付いてはいるみたいだが、連絡鏡で軍に通報を入れてから出動、到着までどれだけ時間がかかるのか分らねぇ。1つ言えるのは、このままのペースで行けば街が間違いなく蹂躙されちまうって事だけだ…!」
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