第4話 エリートの血筋

翌日、早速俺達は朝から山へと繰り出していた。エルヴィン曰く、少し登山道を登った中腹辺りから魔物がちらほら出るらしい。今まさに魔物目当てにハイキング中だ。


「いいか、リーゼ。魔法で戦うなら必ず魔物との距離を取る事。魔術師にとってリーチの取り方は死活問題だ。」


そんな話、普通4歳児にしても何一つ理解されないと思うんだけどな。俺をただの賢い子供で片付ける親バカで良かった。


「わかったー………!パパ!魔物はっけん!」


「お、あれはコボルトだな。あいつを倒せればリーゼの強さはF級冒険者相当ってとこだな。やってみろ!」


「よーし、ファイアボール!」


「ゴフッ!?」


コボルトは避ける間もなく灰と化した。ブランクや体の変化をずっと気にしていた訳だが、どうも俺の魔力は衰えていない。前世に比べればマナの量は減っているが、これは年齢的な問題だ。エルヴィンの血を継いでいるのが良かったのだろうか?


「リーゼ…?詠唱無しで魔法を使えたのか!?」


しまった。前世の癖が出ちまってる。魔法の知識に乏しいエリナの前でしか使って来なかったから気が緩んでた…。


「ファイアボールは下級魔法とは言え、攻撃魔法を無詠唱で使えるだなんて凄いじゃないか!流石俺の娘!」


…ふう、こいつが親バカでつくづく良かったと思うよ。ちなみに詠唱、厳密に言えば魔法の歴史の中で簡略化されて来た簡易詠唱ってヤツだが、これ無しで実戦レベルの魔法を使える魔術師の数はかなり限られている。


「ねーパパ、わたしもっと戦ってみた…」


「そうだ、リーゼの初めての魔物討伐祝いにパーティでもやろう!早速チキンでも買いに行くか…。」


ダメだ。話を聞いてない。残念ながら(?)俺の初陣は雑魚相手に一瞬の内に終わってしまった。

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