第3話 幼女は戦いたい

そんなこんなでほぼ毎日遊びながら4歳になっていた俺は、まだ単独での外出を許されていなかった。土地柄街を少し離れれば魔物の出現も珍しい話ではないらしい、賢明な判断なのだろう。普通のケースならな。


俺はァ!この体でもまともに魔法が使えるのか試したくて堪らないんだよ!

自分で言うのもなんだが、冒険者時代の俺はそれなりに腕が立つ方だった。今は本で読んだ知識と前世の経験を基に、エリナと外に出た時に軽い魔法を使うくらいしか出来ていない。よし、もうエルヴィンに直訴してやろう。確か今日は早く帰って一緒に夕飯を食べるとか言ってたよな。


「ねね、パパ。お話があるの。」


「ん?なんだリーゼ。ママの料理に不満でもあるのか?」


「いや、ママの作る料理はいつも美味しいけどさ…。そうじゃなくて、わたし、魔物と戦ってみたいの!」


「魔物と?ダメダメ、リーゼに何かあったらパパ泣いちゃうぞ?」


「だって…パパ、つよーい魔術師さんで色んな魔物と戦ってるんだよね。憧れちゃうなあ。わたしもかっこいいパパみたいに戦えるようになりたいのに…。」


「り、リーゼ…。よぉし、それなら…」


「ちょっと!この子まだ4歳なのよ!?すごーく賢くてお喋りも上手だけど!」


まずい。キッチンに居たはずのエリナが話を聞きつけて飛んで来てしまった。


「大丈夫さ。俺が危なくならないように近くで見ててやるから。そうだ、裏手の山なら低級の魔物が住み着いてるんだ。丁度俺も明日は休みだし、あそこでリーゼの初陣と行こうか!」


「ほんと?ありがとう!パパ大好き!!」


「もう…。パパが付いてるなら大丈夫だと思うけど、ぜーったい危ない真似はしちゃダメだからね?」


「うん、もちろんわかってる!」


ガキはとにかく寝るもんなんだが、この日の夜、俺は前世振りに興奮して寝付けなかった。

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