第15話 まだ気づかない

 突如発生した空間の振動が、爆音と共にクレリアムの身体を叩く。


 先程出した人型の反応が無くなった場所へ急いでいた矢先の出来事だった。


「なんだ……⁉」


 と言ってからクレリアムはフッと吹き出す。


 なんだもなにも、こういったことを起こせるのは災厄しかいない。


 その確信がクレリアムにはあった。


 そうと分かれば、人型の反応が無くなった場所へ向かうより、音の聞こえた方を目指すのが先だ。


 振動と爆音で逃げ惑う野生動物に目もくれず、一直線にクレリアムはその場所まで飛んでいく。


 飛んでいきながらクレリアムは声を出して笑ってしまう。


「はははっ、思った通りだ! この力、正しく災厄だ! ははははははっ!」


 これ程の力を持つ者を傀儡にできたのだ。今の一撃で邪魔な物を抹消しているはずだろう。


 クレリアムは飛ぶ速度を最大まで上げるのだった。

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