7.きっかけ
物語を読むのが好きでした。
きっかけは、小さい頃に読み聞かせてもらった絵本だと思います。
トンネルに入る度に姿が変わるお話とか、みんなで大きなカブを引っこ抜くお話とか、有名なものからマイナーなものまで、多種多様な本が家にありました。
もしかしたら、いつかわたしもこんな体験をするのかな。
鳥のように大空を飛び回ったり、生き物たちと会話してみたり。お母さんに読み聞かせてもらいながら、そんな夢のような出来事に思いを馳せていました。
恥ずかしい話、夢の国のお姫様に憧れてたことだってあります。それくらい、創られた世界にどっぷりと浸かっていたのです。
ただ、当時のわたしは、それらはきっと現実のどこかで起きていることなのだろうと信じきっていました。例えるなら、サンタクロースを信じる子どもみたいなものです。
当然、サンタクロースが煙突を覗いて落っこちることはありません。
そんな当たり前なことに気がついたのも、周りと比べてかなり遅かった気がします。みんなはサンタクロースはいないと言うけれど、それは間違っている。きっとこの世界のどこかに存在して、毎年クリスマスになるとプレゼントを届けてくれるんだ。
さすがに、小学校の高学年になった頃には真実を知りましたが、これはこれで素敵なお話だとも思いました。
それからでしょうか。わたしは、小学生ながらに様々な作品を読むようになりました。
学校の図書室にある児童書を手に取ってみて、長期休暇には何冊も読みふけって。わたしは、世界の広さを知りました。
それは中学生になっても変わりません。
話題の著書を買ってみたり、人気シリーズを揃えてみたり、まだ見ぬ世界に向けてよりいっそうのこと積極的に本を読んでいました。
ただ、お小遣いが尽きてしまったのです。
もちろん、通っている中学校の図書室で借りられるものもあったし全て読んだわけではありませんが、読みたいなと思ったものは読んでしまったと思います。
国立図書館などと比べると見劣りするほどで、決して新作まで取り揃えてはいなかったので、わたしは自主的に本を買うこともありました。
収集欲があったとも言います。いつでも読み返せるように、気に入ったものは部屋に置いておきたかったんです。
それもあって、お小遣いはなくなりました。
趣味の域だったので、毎月のお小遣い以上にお母さんからお金をもらおうとは思いませんでした。中学生なのでバイトはできないし、図書室にあるものでどうにか。
そんなとき、わたしはネット小説に出会いました。
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