ヒーローみたいなクラスメイトのお話
5.気持ちいい朝日、おいしいご飯
目覚まし時計の音が鳴る前に目が覚めました。
楽しみなことがあって眠りが浅かったわけではありません。でもなんとなく、高校生になってからそういう日が増えました。
起きたばかりは体が少し冷えているので、なかなか布団から出られません。ぼんやりとした頭でぼうっとネットサーフィンをして少しずつ目を覚ましていきます。
それから、起き上がって部屋のカーテンを開けるんです。
「まぶしい……」
朝特有の温かい日差しを浴びると元気が出るようになりました。中学生まではドラキュラかってくらい日光が苦手だったんですけど、最近はそうでもないです。
二階の自室から降りてお手洗いを済ませ、ついでに顔も洗って、それから家族と顔を合わせます。
「おはよう、早紀。最近朝早いわね」
「高校生になったからだよ。早起きしないと遅刻しちゃうし」
お母さんは変に勘が鋭いところがあるので、ちょっとした日常の変化にもすぐ気づいてくる。そのおかげで助けられることもあったけど。
「あ、今日のお弁当、卵焼き入ってる」
キッチンを覗いてみたら今日の献立が全てわかりました。
ブロッコリーにきんぴらごぼう、卵焼きに小さめのおにぎりが二つ。メインは昨晩の残りのからあげです。おいしそう。
「お兄ちゃんも同じ量食べてたの?」
「んー。だいたい同じだけど、おにぎりの大きさが少し違うかな。あと、たんぱく質が欲しいって言ってたからお肉多めだったかも」
言われてみれば、お兄ちゃんが持っていたお弁当箱はわたしが今使っている物より一回り大きかった気がする。
そんなふうに朝ご飯が出来るのを待っていたら、階段を駆け下りる音が聞こえてきました。リビングには目もくれずに玄関まで行ってしまいます。
「祐、朝ご飯はいいの?」
「適当に買って食べるから大丈夫」
「そう。じゃあ、いってらっしゃい」
返事もなくお兄ちゃんは出掛けてしまいました。大学に入ってからそういう日が増えている気がします。
「わたしがお兄ちゃんの分まで食べるよ」
「ありがとう。でも、本当にこれ全部食べられる?」
ちょっと無理かも、と苦笑い。けど、お母さんは笑ってくれた。
朝ご飯はきっちり食べて、制服にも着替えたし、今日も学校へ行く準備が整いました。
「いってきます!」
こんなふうにお母さんに明るく挨拶が出来るようになってよかった。
朝日がこんなに気持ちいいこと、ご飯がこんなにもおいしいことを知れたのは宮里くんたちのおかげでした。
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