第5話「いつかあの大空へ」ー1

チッチを失ってしまってから、ぼくには生きる気力がなくなってしまった。


あの日、自分の不注意でチッチを失ってしまったママさんは暫くの間自分自身を責めていた。心配したパパさんは、ママさんが元気を取り戻すように一生懸命慰めていた。ママさんの元気がなくなるとお腹の中の赤ちゃんにも悪い影響が出ちゃうかもしれないんだって。

そして、パパさんの努力が実って、無事、元気な赤ちゃんが生まれたよ。


ぼくは、そんなパパさんとママさんが羨ましかった。

だって、どんなに願っても、もう、ぼくとチッチとの赤ちゃんは生まれてこないのだもの。


ぼくは、日に日にからだが弱り、ゴハンもほとんど食べられなくなってしまっていた。赤ちゃんのお世話でとっても忙しそうなママさんは、そんなぼくの様子に気づいていないみたいだった。チッチが居なくなってしまったぼくは、もういつ死んでもいいと思った。


やがて、また春がやってきた。

もう長くは生きられないことを悟ったぼくは、最期の勝負に賭けることにした。


今年も燕のハヤトがぼくの元へとやって来た。

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