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「ねー鈴、帝桜女学園の魔女って知ってる」
「魔女~?何それ?パイパインみたいなやつ?」
「違うよ~、果銃使いパイパインはアニメでしょ。私が言ってるのは”本物”の生きてる、今存在してる、この学校にいる魔女のこと」
いつになく強い口調で
「メグ~、また何か動画観てたの?」
「そんなんじゃ無いったら、もう、ねぇコサも知ってるよね?」
恵はたまたま後ろを歩いていた
「知ってるよ。てゆーか鈴知らないの?マジ?私なんか入学前から知ってたし」
「ほらね」
得意げに胸を張るめぐにチョッとイラっとしたけど、皆が普通に魔女とか言ってるのにビックリした。
「へー、で、それがどうしたの?」
「んふふ、鈴さ~バイト先で気になる人がいるって言ってたよね」
「いるけど……何よ」
ヤバいメグの目が細くなった、こんな時の話しはロクなもんじゃない。
「魔女に手紙を書いてもらうと恋が叶うって聞いたんだ~」
「マジッ!ちょっとそうゆうことは早く言ってよ、も~」
魔女と聞いて警戒してたのが嘘みたいに私は体を乗り出した。”恋が叶う”というパワーワードの効力は女子高生にとって絶大なのだ。
「旧校舎あるでしょ?」
「うんうん、行ったことないけど」
「で、旧校舎に魔女の巣窟があるんだって」
「はあ?」
絶対ふざけてるし、何か文句言いたいし、こっちは真剣だし。そんな思いを正直に顔に出すとメグは反論の機を与えず、次の言葉を繰り出した。
「待って聞いて、魔女の巣窟っていうのが、何て言うか特別学級みたいなところなんだって」
「特別~?」
「う~ん、ほら小学校の時とか居たじゃない、授業中急に大声を出したりとか・・ちょっと普通とは違うみたいな感じ?」
メグが言いたいことが何となく伝わってきた。
「うん、居た居た、で、それが?」
「でね。そういう人って普通じゃない才能みたいなのを持ってる人が多いんだって、それでそういう人が旧校舎に通ってるらしいのね」
「あ~なるなる、そん中によく分かんないけど手紙が上手い人が居るってことね」
「そうそう、何だかもう凄いんだって何十組ってカップルが出来たみたいよ」
「それがホントなら凄いけど……」
そんな話は信じられなかったけど、意中の彼は正攻法では絶対無理なの。魔女でも何でも助けてくれるなら、今すぐにでもすがりたい。
話を聞いた後、テキトーな嘘つきやがってと思いながら旧校舎に向かっている私ってバカなの?
初めて足を踏み入れた旧校舎は正に旧って感じの建物で、ハッキリいって古臭い感じがした。帝桜の歴史は随分古いみたいで、最初に出来たのが明治?時代とかもっと前からとか入学式の時、校長が言ってたような?で二十年前くらいに新校舎が出来たんだよね?確か。
まあサブカル気取りの
それでも魔女の巣窟とやらを見つけるために、校舎の探検をしていると何か大きな声が聞こえる。木製の廊下をギシギシ言わせながら声のする方へ進んでいくと、突き当たった右手の奥に扉があった。どうもその向こうから声は聞こえてるっぽい。
ギイ。
扉を開ける音まで古臭いなと思った。
その向こうは広大な原っぱだった。多分昔は校庭だったんだろうけど、青々とした芝生が一面に広がっていて、風が気持ちいい。
少し遠くで背の小さい娘が大声で叫んでた。
まあこんだけ景色が良かったら大きい声も出したいよね。私も大好きなバンド (サンダル履いて山のぼ郎)の大ヒットナンバー(カーリーヘアはいつもびしょ濡れ)を歌いたくなったもん。
ん?でも近づいてよく聞くと歌を歌ってる感じじゃない?なんかデタラメに色んな言葉を叫んでるみたいに聞こえる。
「六yatbak〜%0ああ036%まにゆ%:花:、、、246子82辺えxs#//++御=〜〜〜〜::@@」
人の名前とか数字とか英語?外国語とか聞いたことない名称みたいなもの地名、商品名?とにかくメチャクチャに色んなことを大声で叫んでる。
車に乗ってる小さい子供が時に目につく看板を片っ端から読み上げてる感じ。
「は〜〜スッキリした。ねえ、そこのキミも大きい声出してみなよ」
振り向きながら私にそう言ったのが小羽根先輩だった。で、二人でカーリーヘアを歌ったんだ。
「あー楽しかった。キミさ相談があってココに来たんでしょ?」
「あっはい、えっと、あの、えっとその……」
どうしよう魔女の巣窟とか恥ずかしく言えないし。
「そっかーじゃあ、魔女に会いに来たんだね」
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