盲目の魔女は今日も頼りにされる
永里 餡
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”男装の麗人”最初に彼女をみたとき頭に浮かんだのがこの言葉だったんだよ。
私はあんまり頭が良くないからさ、もしかしたらもっとピッタリな言葉があるのかもだけど。とにかくそう思ったんだよね。
真黒で本当に真黒でサラッサラな癖一つない綺麗な髪。
それを肩まで伸ばして前髪パッツン。
ツンと尖った顎と細くて長い指。
足も長くてスタイルも最高。
制服はブレザーなんだけど、ウチの学校はとっても先進的で二十年位前からズボンとスカートが選べるのね。で、今目の前にいる先輩はズボンを履いているんだけど、それがまた素敵で宝塚みたいっていうのが一番しっくりくるのかな?
う~ん、ただちょっとだけ普通の人と違うのかもな~って思うのが、切れ長のいかにも東洋的な目。その瞳の色は元々ブラウンなんだと思うんだけど、色素が薄くなっていて殆ど金に近くなっているのね、すっごく薄いゴールド。
何でかっていうと、視力がもうゼロに近くて見えていないんだって。盲目っていうのかな?でも何故か右目には真っ白な眼帯をしてるのね。
何かの治療中なのかな?
でも瞳の色と髪の色が絶妙にマッチしてて、近くにいると凄くドキドキするの。あれ?私そっちの気は無かったと思うんだけどな。
まあとにかく今私は盲目の美女
「それで、僕に何か頼みごとがあるんじゃない?えっと」
小首を傾げながら、神無月先輩は私に話しかけてきた。
(って、おいおいボクっ娘だ~やば~い。キャー)
「あっはい、
完全に目がハート状態で私は答えた。
「なるほど……緑ちゃん、誰彼とほいほい連れて来ないでくれないか?僕はお悩み掲示板を開設したつもりはないのだけれどね」
神流月は机に肘をつき右の人差し指で額を押さえながら、呆れたように言った。
「まぁまぁ、この子が私の目に留まったが最後、これも何かの縁だお」
行儀悪く机の角に腰かけ両足をブラブラさせながら
天然パーマのくるくるショートの小羽根先輩は小っさくて活発、いたずらっ子の妖精を人間にしたみたいで、年下の私からみても抱きしめたくなる程可愛らしい。
「はあ……まあいいよ。一応ひとこと言いたかっただけだから」
そう言うと今度は私に向き直る。
「じゃあ三原くん、こっちの席に座ってくれるかな」
「あっはい」
神無月先輩の机にもう一つの机が向かい合わせにつけてあった。机の上には木製のペン立てと何故か蝋燭が置かれていて、白杖が立てかけてある。
「それじゃあ、話してくれるかな?」
見えて無いはずの透けるような金色の瞳が、私を真っ直ぐ捉えた。
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