第2話 引き?
「引き」とはなにか、考えてみます。
「引き」は「続きを期待してもらうための技」とか「続きを読まずにはいられなくする要素」みたいな意味だと思います。
まずはタイトルとキャッチコピーに「引き」がいります。続きを読みたくさせる技が必要です。
これがいちばん大切かなと。どんなに中身が面白くても、タイトルとキャッチコピーに「引き」がなかったら、そもそも読んでもらえません。
物語は、タイトルから、すでにはじまっていると思います。タイトルが読者様が目にする最初の行です。一行目です。
カクヨムはキャッチコピーかもですが。
長文タイトルは、中身がわかるというメリットが大きいと思います。
でも、初心者が安易に長文にこだわると、失敗しそうです。ちゃんと読める目のすべらない文章にしないと。
最初は長文にこだわりすぎない方がいい。その前にもっとこだわることがある……はず。
それは「主人公の情報」と「ギャップ」だと思います。
ギャップというか、対義語?
あと、なぜかネガティブな言葉の「引き」が強い気がします。
「書きなぐる。」
初心者のくせに、初心者向けに、ウェブ小説創作論もどき。
強く、ネガティブな言葉を使ってみました。どうでしょう?
「初心者のくせに」なんて言う人が目の前にいたら、殴って縁を切ろうと思います。
でもキャッチコピーならやってみます。
また話がそれました。
なぜ「主人公の情報」である必要があるかというと、物語とは「主人公が活躍する話」だから。暴論かも。
でも大半の読者様は「主人公の活躍」が見たいはずです。
主人公が大して活躍しないのに面白い話は、たぶん超高難易度です。
スティーヴン・キングとか「誰が勇者を殺したか」とか、いきなり張り合うと、たぶん心がポキッと。
なのでタイトルは主人公のことを書きます。
そしてギャップをいれます。できれば少しネガティブな印象の言葉も。
「存在感ゼロのバーサーカー」
影が薄いのにカメラに映ると目立つらしい
これは、こうです。
(主人公は)存在感ゼロ(なのに)バーサーカー
(主人公は)影が薄いのにカメラに映ると目立つらしい
存在感ゼロや、影が薄いのイメージは「いるんだかいないんだかわからない」
バーサーカーのイメージは「豪快に戦う」だと思います。
ギャップ……あ、あるよね?
存在感ないのに、バーサーカーなの?
って、お、思うよね?
おそらく読んでくださった方は、疑問をもち、興味を抱いてくださった方のはず。
長文タイトルをつける場合でも、ギャップのある主人公を考えて、それを反映するのがいいかも。
なんというか、時代にあった「引き」を必ずいれようと試みることが大切だと思います。
「引き」なし、たとえばタイトルが「桜吹雪」みたいな、読者様に意味が伝わらないタイトルでも読まれる作品は、作者様の名前がもう「引き」になっているパターンだと思います。
「お? この作者の新作? 気になる」
固定ファンがついているなら、タイトルは「作者らしさ」なんかを優先してもいいかもしれません。
あとは、たとえば「ダンジョン」という言葉。もうこれだけで「主人公がダンジョンで活躍するのかな?」と多くの読者様に読み取ってもらえるかもしれません。
有名タイトルを例に出して「引き」を考えます。
「転生したらスライムだった件」
これはたぶん、多くの読者様にはこう見えます。
(主人公が)転生したら(最弱の)スライムだった件
これは転生とスライムの意味が上手く使われている感じが。
「最弱に転生したら、最強になるに決まってる」そう思えます。
最弱がどうやって最強になるのか、気になってタップするはずです。多くの読者様が。
無職転生も同じと思います。たった4文字で、すごい。超すごい。中身もっとすごいし。
無職という底辺が転生したら、たぶん頂点になります。そう読者様は無意識に感じ取るはず。
こんな感じでタイトルとキャッチコピーで、まず引きます。
次にあらすじでも引きます。期待させて1ページ目を読んでいただきます。
中身がはっきりわかる方が、いまはまだ人気……?
たとえば、あらすじで「最強になる」と書いてしまう。多くの読者様は「どうやって最強になるんだろう?」と期待してくれます。たぶん。
でも最後があまり予想できなくてもいいと思います。筆者がやったのは、どちらかというとこっち。
あらすじ貼ります。
現代に現れたダンジョン門は、世に様々な影響を及ぼしていた。
そんな中で育った存在感ゼロの主人公。透明人間ではない。親もいれば友人もいる。
誰にも声をかけてもらえないことに慣れきった、けれど平気なわけでもない彼は、たびたび誰かを助ける。
18歳を迎え、はじめてダンジョンへ入る日にも。
これが、あらすじ全文です。
筆者は、あらすじの長さはこのくらいがいいと、いまのところ思っています。
1ページ目を気軽に楽しんで欲しい。
このあらすじでは、最後がどうなるかは、定かではありません。でも、1ページ目から誰かを助けるであろうことは、伝わるはず。
1ページ目を読みたいと思ってもらえたら、十分な引きになると思います。
ついでにダンジョンが主軸なのも伝わるはず。ダンジョンで主人公が活躍する話に見えるはず。
カクヨムのあらすじはおそらく、なろうより読み飛ばされる。
なので、あらすじより、1ページ目で、2ページ目を読みたいと思ってもらうことが、きっと大事。
タイトル、キャッチコピーの次に、1ページ目の引きが大切。
あと、各話タイトル。各話タイトル超便利です。目次に並んで見えますし。
プロローグとエピローグは、筆者にはこう見えます。
プロローグ(読み飛ばしていいよ)
エピローグ(読み飛ばしていいよ)
だからちゃんと中身がわかるようにした方がいいかなと思います。
有名でいい感じなのは「城之内死す」知ってますか……古すぎますか。なんかダメ扱いされてますが、これは気になって見るでしょう。
ネタバレも、ときにはいいと思います。
えーと。
1ページ目ですが、とことんわかりやすく、劇的なワンシーンで引いたほうがいいと思います。
やらかした筆者は最後の1行で、無理矢理にファンタジーっぽい引きを入れました。
こうです。
次はステータスの確認だ。
これ、たぶん良くない。もうステータスを見たい読者様は、きっと少数派です。
でもやらないよりは、はるかにマシと思います。
こういう「引き」は、たぶん時代で変わります。すぐ変わります。ころころ変わります。
たとえば。
まさか、そんなことが己の身に降りかかろうとは、このときは思いもしなかった。
みたいな。
ちょっと日本語がおかしいですが、この類。
これは、やめた方がいい気がします。
これは、たとえ具体的でも使い古しみたいな、ありきたりすぎる印象をあたえるかも。
ほんとすぐに使われすぎという印象になってしまうように感じるんです。
ひと昔前、事故なんかで死ぬシーンから始まる転生ものは、人気を博したと思います。
ですが、もうやらないはずです。
やるならサラッと「なぜか転生していた。トラックにでも轢かれたらしい」とか、そのまま書く方がまだ新しい気がします。
で、えーと、あまり良い例が思いつきません。引用は難しいです。
できれば、無職転生の1ページ目の最後を見て下さい。すごいから。外連味のある比喩で引いてる感じするから。一瞬でページめくっちゃうから。
「存在感ゼロのバーサーカー」50話の最後を抜粋します。
いや、間に合う。
余計な世話かもしれないが、視界に入る前に倒す。
縮地。
縮地ってスキル名です。
倒すと言って、スキルを使ったところで、引きました。
こうすると、もう次のページは助けるための戦闘から始まることが伝わるかと思います。
読者様は、主人公の活躍が見たい。なので、活躍すると思えるこれが、ファンタジーとしてはいちばんマシな引きではないかと思います。
本当はページの最後だけで引くのは、よくないです。こんだけ書いといて、だけは悪手と思います。
超難しいんですが、そのシーンそのもので、続きを読みたいと思わせて下さい。深瀧はこれを目指しています。
どうやるかというと、読者様に期待させたうえで、その期待を超えます。
すると、読者様は「また期待を超えてくれるかも」と、期待してくれます。
「最後まで読めば面白い」は、ウェブ小説では、やらない方がいいかなと思います。
怒られそうですが、筆者はすぐ読むのをやめます。
1ページ、1ページが、面白いのが理想です。
そうやって、ずっと読者様の期待感を維持したまま完結したら最高です。
そんな無茶な。いえ、目指します。
引きの説明、難しいです。
クイズ番組とか例に出せばよかったかも。
「答えはCMのあとで!」
時代にあった引き方を模索していきましょう。もしくは、いつの時代でも多くの読者様が期待してくれるほどの面白さを。
乱暴にまとめます。
ギャップある主人公が活躍する話を書いたらいいよ。
タイトル、キャッチコピー、各話タイトル、あらすじ、1ページ目、それ以降のページ、全部大事。全部引きが必要。
そんで読者様の期待を煽って超えてゆけ。決して読者様を裏切るな。
すべてのページで、これができたら人気作。
「脳筋賢者」とか「素早さ極振り百貫デブ」とか。どうでしょう?
両方ギャグっぽい。
「引き」もぜひググって、自分の言葉で書いて投稿して欲しいです。
おすすめです。レッツトライ。
次はなにを書こうかな?
「書けない!」ってなったときの対処法を書いてみます。
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