二十四年 二月 霞

 春霞、朝霞、夕霞、遠霞、薄霞、棚霞、霞む。すべて霞の傍題です。

 春は大気中の水分が増えることによって、空の色、野面、山谷など遠くのものが霞んで見えることがある。霞は遠くかすかで、ほのかな優しい感じのするものである。(俳句歳時記・春・角川書店編より抜粋)昼は「霞」、夜は「朧」と使い分けます。



 ピッケルを磨く休日山霞む


 登山を趣味にしている山男が、休日にピッケルなどの山道具のメンテナンスをしています。窓から見える春の山はほのかに霞んで、次の連休には必ず踏破しようと思うのでした。季語は「山霞む」没。


 屋根に乗る大工の欠伸朝霞


 さあ、今朝から屋根普請です。 梯子をかけて屋根へトントントンと登ったまでは良かったものの、春の朝は眠たくて、大工さんは思わず知らず大欠伸をして、見ていた親方に怒られました。季語は「朝霞」没。


 ☆☆ 夕霞急ぐでもなくブルドッグ


 ブルドッグが散歩をしています。連れられているのは中学生の男子です。不思議なことに、犬によっては人に散歩をさせて貰っているタイプと、人を引き連れて自分が散歩をしているタイプがあります。このブルドッグは明らかな後者です。ほんのりと景色が霞む夕暮れ時を楽しみながら、威風堂々と歩いて行くのでした。人選。

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