第13話 流れ星に願いを 前編
白鶯砦の大食堂。
その片隅で今一人の女性が静かに食事をとっている。
緩やかにウェーブの掛かった赤紫色の長い髪に切れ長の瞳の美女。
青い軽装の女性用の鎧を身に着けている。
彼女の名前はルクシオン・ヴェルデライヒ。
約六百年前に滅びた人と竜が共に暮らす王国レム・ファリアスの姫であり巫女でもあった女だ。
クリスティンと同じく人と竜の混血であり、桁外れの戦闘能力を誇る。
「はぁ……姫様は相変わらずお綺麗だなあ」
それを遠巻きに眺めている戦士たちの1人がそう呟いた。
ちなみに彼らはルクシオンの出自を知ったうえで姫と呼んでいるわけではない。
容姿や立ち振る舞いで自然と付いたあだ名である。
「お、俺、声掛けてこようかな」
「やめとけよ。この前だってロバートの奴が行ったけどよ。全然相手にされてなかったぜ」
首を横に振るスキンヘッドの傭兵。
その隣に座っている大柄な戦士もうんうんとうなずいて同意を示した。
「そうそう。別に無視されるわけじゃないがな。こっちがなんか言っても話半分に流されてるって感じだよ。あの桁外れの強さもそうだし、
そう言って男たちは再び食事をするルクシオンに視線を向ける。
黙ってパスタを食べている竜の姫。
その所作は確かに神秘的で芸術品のようだ。
唯一、クリスティンの事になると言動が幼くなり情緒が不安定になるのだがそういう面は知らない相手の前では彼女は見せない。
その最愛のクリスティンがいない今、彼女の心の大半は虚無が占めている。
食事の合間に物憂げな吐息を吐くルクシオン。
「はぁ~……ため息ついてても画になるぜ。何を悩んでんのかなあ?」
「俺たちみたいな地べたのモンにゃわかりゃしねえよ」
こっそり眺めてひそひそと盛り上がっている男たちであった。
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地上の人間たちが4番
初めは穴の縁に大きな青い肌の手が掛かった。
これは即座に
報告を受けた現場の部隊長は即座に自分たちの所持する最大の兵器『大いなる裁きくんMAX』の発射を支持する。
新種のスパイク蟲熊の百匹近い群れも一瞬で塵に変える
穴の淵より這い出てこようとした巨大な何者かは顔を出すや否やこの破滅の光に晒されることとなった。
「……命中しました!!!」
報告を受けて望遠鏡を覗き込むヒューゴ。
「頼むぜぇオイ。ちゃんとくたばっててくれよな……」
頬を引き攣らせている無精ひげのエルフ。
だが、哀しいかな戦闘力は低くともこの男の長年の冒険家生活による高い『危機を察知する能力』が告げているのだ。
……この相手は倒せていないと。
「本部に連絡。
叫ぶヒューゴ。
下士官が慌てて電信用の装置に飛び付く。
主に魔族が現れた時に使用される。
その間にも巨影は穴の外へとその全容を現しつつあった。
二面四臂の巨大な魔族……。
上体の数か所から細く煙を上げているものの光線によるダメージらしきものは見受けられない。
「終わりなのか。ささやかな出迎えだな」
「キヒヒヒッッ!! 久方ぶりの狩りの時間だなぁッッ!!」
大将軍フォルドーマの左右の面がそれぞれに言葉を紡ぐ。
4本の巨腕にそれぞれ大剣、大刀、大斧、鉾の4つの武器を構えたフォルドーマ。
「……どれ、まずはこちらも挨拶代わりの一発といくか」
大将軍は力を込めて大剣を地面に突き立てる。
それだけで周囲の地面は地震のように震えた。
そして剣から走った衝撃波。
激しく土砂を巻き上げながら地面を走る破壊エネルギーは真っすぐにロンダンの都へ向かう。
「……やべえぞオイ!!!!」
それを望遠鏡で見ていたヒューゴが青い顔で叫んだ。
街へと達した衝撃波が進路上の建物を破砕し瓦礫を巻き散らしながら地面を裂く。
数km先からの攻撃が都市の一地区を半壊させた。
あちこちから避難を促すサイレンの音が鳴り響く中、逃げ惑う人々で都は大混乱に陥っていた。
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白鶯砦も現在混乱の渦中にある。
街の住民たちを避難させる為に団員たちが次々に出発する。
こういう事態は想定はされていた。
避難の手順やルートは住民全員に共有されてはいる。
とはいえ、実際その時が来てその通りにスムーズに事が進むかと言われればそんな事は無い。
「団長!! 団長もすぐに脱出を!!」
側近の進言に首を横に振ったフェルザー。
市中にあって一際大きなこの城砦はそれだけ被害を受ける可能性も高い。
「これは単に逃げられればいいというものではない。現れた巨大な敵の対処も必要だ。指示を出すものが早々に持ち場を離れるわけにはいかん」
「し、しかし……」
焦燥に顔色を失い喘ぐように言う側近。
フェルザーは表情に乏しいいつもの佇まいだ。
「………………………………」
側近は知っている。
自分の主人はこうと決めたらそうそう意見を覆す事はないという事を。
「お前の役目はここで私と問答する事ではない。……行け」
「フェルザー様……。わかりました。ご無事で、団長」
団長の執務室を出て走っていく側近。
遠ざかる足音を聞きながらフェルザーは窓に歩み寄る。
眼下の町並みはあちこちで火の手が上がっていた。
「……虚しいものだ」
窓枠に手を置いたフェルザーは誰に言うとも無く呟いた。
思えばこの戦いは始まりこそ絶望感と混乱に満ちたものであったが迎撃の体勢が整ってからは比較的戦況はこちら側の有利で推移していた。
だがそれも薄氷の上の優勢。
こうして1人……1匹というべきなのか、強大な敵が出てきただけでこの惨状だ。
自分たちのしてきた事は……。
この戦いは徒労であったのだろうか?
一瞬脳裏を過ぎる暗い思いにフェルザーが瞳を閉じてうつむいた。
「………!!!!」
再び団長が目を開いたその時、フォルドーマの放った第二の衝撃波が砦を直撃する。
団長の執務室は跡形も無く消し飛び、轟音の中でフェルザーの姿は閃光と瓦礫の中に消えていった。
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鎧を鳴らして刃槍を手に竜の姫が歩いていく。
ルクシオンは今日は地上にいた。
「……ルク!」
小走りでカエデが追いついてくる。
ルクシオンがゆっくり振り返った。
「逃げていなさい、カエデ。あいつ……今までのとは違うわ」
淡々と告げるルクシオン。
彼女の前方1kmほど先に聳え立つ青い巨体……大将軍フォルドーマがいる。
「おい、やれるのか……? 今度の奴は大分やばそうだぞ」
双眼鏡でフォルドーマを窺いながらしかめ面をしているメイヤー。
「さあ……わからないけど、やるしかないのでしょう?」
他人事のように無感情なルクシオン。
「バカタレが。やるしかないわけあるか。やれないならやれないでいいわい。適当に見切りをつけて逃げてこい」
「逃げて……どうするというの?」
尋ねるルクシオンにメイヤーはフンと鼻を鳴らして咥えた葉巻に火を付けた。
「決まっとる。とっととこの国を離れるんだよ。ビジネスパートナーではあるが滅亡まで付き合う義理などないわ」
「わーお、おじ様冷酷ですね」
これまた感情表現極薄のアメジストの棒読み。
「冷酷なものか、当然の事だ。お前はどうするんだ? 一緒に脱出するなら連れてってやってもいいぞ」
「そうですね。
肯いてから、アメジストの眉がぴくんと揺れた。
「おっと、マズいですね。離れましょう」
メイヤーの袖を引くアメジスト。
瞬時に意図を察してメイヤーと、そしてカエデがその場を離脱する。
その場に残されたルクシオンが空を見上げ瞳を細めた。
「一瞥以来ね」
呟いた彼女を上空から奇襲する影……。
「……アハハハハッ!! 会いたかったぜ!!!」
轟音と共に砂埃が舞い上がる。
大地が揺れて大きな裂け目ができていた。
その亀裂の縁で砂埃の中何者かがゆっくりと立ち上がる。
「よぉ、この前の続きをしに来たぜ」
黒い甲殻類のような生物的な見た目の巨大な両刃斧を肩に背負ったメルドリュートがそこにいた。
「私は別にあなたに用はないのだけど」
「つれない事言うんじゃねえよ。今日はちゃんと得物を持ってきたぜ」
大型の斧を片手で軽々と持つメルドリュート。
「……退屈はさせねえよ」
その武器をルクシオンへ向けてニヤリと犬歯を見せて笑う。
はぁ、とため息をついてルクシオンも構えを取った。
「時間が惜しいわ。来るなら来なさい」
「へっ、それじゃあ……遠慮なく行くぜッッッ!!!!」
叫んだメルドリュートが死を呼ぶ暴風と化してルクシオンに襲い掛かった。
大斧を振り下ろす女魔族。それを刃槍で受け止める竜の姫。
両者の戦いの衝撃波が離れたメイヤーたちの所まで到達する。
「ぐおっ!! ここでもやばいのか!! なんちゅうやつらだ……!!!」
衝撃波で吹き飛ばされ地べたを転がりうつ伏せに倒れたメイヤーが叫んだ。
「うーん……あれはメルドリュートですね。『打ち砕くもの』メルドリュート。いくつもの世界で大暴れしてきている
メイヤーと同じく吹き飛ばされ彼の隣で伏せながら今一つ緊迫感のない調子で言うアメジスト。
「ボスでもない奴でもそんなにヤバいのか!」
「はい、かなりヤバいです。ちなみにボスは向こうの大きいアレですね。大将軍フォルドーマ。全
アメジストの解説にメイヤーが心底イヤそうな顔をする。
「ええい、解説いらん。聞いても気が滅入るだけだ」
「そうですか。とりあえず逃げるというプランが大分現実味を帯びてきたという事で」
吹っ飛ばされた時にずれていた眼鏡の位置を直しながらアメジストはため息をつく。
(まさかここまで本腰を入れた人選で乗り込んできているとはびっくりです。そういえば前の大将軍ハザンはこの世界で侵略に失敗して倒されたんでしたっけか。なるほど、そう考えると同格であるフォルドーマが来るのはおかしい事でもありませんね。うっかりさんでした)
いらんと言われたので声には出さずにアメジストが考えている。
ハザンとは5人の英雄王に倒されたこの世界では『魔王』と呼ばれている者。前回の魔族の侵略の指揮官である。
「こうなるならもうちょっとえびせんべいを買い込んでおくんでしたね」
気の抜けた事をつぶやくアメジストであった。
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2度衝撃波を放つとフォルドーマはしばらくその場に留まって周囲の様子を窺っていた。
白鶯騎士団は距離をとって大将軍を包囲しているもののそれ以上詰めてくる様子はない。
荒野を不気味な静けさが覆っていた。
「……挑みかかってくる骨のある奴ぁいねえみてえだなァ」
右面が嘲りの言葉を吐いて口の端を上げた。
そして、ずしん! と大地を震わせて大将軍の巨獣の下肢が1歩前に出る。
「ならばこちらからいくぞ……!!」
動き出したフォルドーマ。
その真下に1人の男が立つ。
乾いた風に赤い髪を揺らしてクリストファー・緑が巨大な魔族を見上げている。
「……ほう。腰抜けばかりではなかったようだな」
「キヒヒヒッ!! 赤い髪!! パロドミナスを痛めつけたのはテメェかぁ!!??」
フォルドーマの左右の面が順番に口を開く。
あまり共通の感情を表す事がない大将軍の左右の面であるが、この時はどちらの面も心なしか楽しそうに見えた。
4本の豪腕の内の1本が持っている大剣を振り下ろしリューにその鋭い切っ先を突きつけた。
「我が名はフォルドーマ。大将軍フォルドーマだ! 名乗るがいい赤い髪の男」
「クリストファー・
名乗ったフォルドーマに応えて静かに言う赤い髪の男。
それが、両者の開戦の合図となった。
「なら行くぜェッッ!! クリストファー!!!」
咆哮を上げてフォルドーマが大刀を振り下ろす。
刃自体がリューの身体よりも大きい武器を人外のパワーとスピードで繰り出してくるのだ。
掠っただけでも戦闘不能にされかねない。
だが着撃の直前にリューの姿が消失する。
「ぬうッッ!!?」
リューを見失うのと同時に武器を振り下ろした腕に走った鈍い痛み。
大将軍にとっては小石をぶつけられたに等しい些細なダメージではあるが……。
(見えぬ。追えぬ……)
一瞬だけ視界に収めることはできても即座に消える。
そしてまた身体のどこかに僅かなダメージを受ける。
フォルドーマも巨体に見合わぬ俊敏さを誇ってはいるが速度に関しては赤い髪の男に一日の長があるようだ。
だが、リューはスピードだけでフォルドーマを翻弄しているのではない。
(なるほど、貴奴めは死角から死角へと巧みに移動しているようだ)
大将軍とリューではその大きな体格差からどうしても多数の死角が生じる。
武器と腕の下に隠れただけでもフォルドーマ側からリューを視認するのは不可能だ。
リューは優れた反射神経とスピード、そして生まれ持つ異能である感知するオーラを駆使してフォルドーマの変化し続ける死角を移動しながら彼に攻撃しているのだ。
稀に一瞬視界の端にリューの姿を捉えることがあるがほとんど透明も同然。
「小癪な。だが面白いやつだ」
「パロドミナスがやられるわけだなァ。
大将軍の左右の面が交互に言う。
この間にもリューの攻撃は続いている。
だが与えられているダメージは極わずかであり、フォルドーマの高い再生能力を上回って蓄積していけるようなものではない。
半面、オーラを全開にしつつ神経を削りながら最高速度で移動を続けているリューの消耗はかなりのものだ。
……このままではいずれ疲労からリューはフォルドーマの知覚外に逃れきれなくなる。
そして大将軍はその事実を既に看破していた。
(どうする? このままではいずれ破滅だぞ、クリストファー)
声には出さず内心でほくそ笑むフォルドーマであった。
「………………………」
無言で作業のようにフォルドーマの死角から精密な打撃を刻み続けているリュー。
彼は自身の攻撃では大将軍に満足なダメージを与えられないことは理解している。
ダメージの大きな攻撃を入れるには大きな隙ができる。その溜めの時間を作れば相手の逆襲を許すだろう。
だが……それでいいのだ。
元より今の自分にこの相手を倒せるとは思っていない。
自分の目的は時間稼ぎである。
ロンダンの住人たちが町の外へ逃げる時間を稼げば目的は達成される。
『社名を出して協力している以上は黙ってただ逃げるというわけにもいかん。街の連中が逃げる時間を稼いでやれば義理も果たした事になるだろう。そうなったら離脱だ。さっさと戻ってこいよ。……いいか? 間違っても大怪我するほど戦ってくるんじゃないぞ』
出る前に打ち合わせた時のメイヤーの言葉を思い出す。
別にリューはメイヤーの言葉に従っているというわけではない。
単身死地に赴いてフォルドーマと死闘を演じているのは、自分の失態からこの侵略者たちを招いたという自責からのけじめのようなものだ。
……今は無理だとしてもいつかは倒す。
その為にも拳を交えておく事は大きな意味がある。
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激しく武器がぶつかり合い、不快な金属音を響かせ火花を散らす。
一瞬の後に吹き飛ばされたルクシオンが後方の地面に叩きつけられた。
「…………………」
悲鳴もなく、苦悶の呻きもなく。
ただ青い竜騎士は不快げに表情を歪める。
ぎゅっと歯を嚙み締めた口元は血で汚れている。
「おい……なんだよお前」
そして渋い顔をしているのは競り勝った方も同様であった。
大斧を肩に担いでメルドリュートは忌々し気に舌打ちする。
「てんで歯応えがねえぞ。地べたに降りてきたからってわけじゃねえだろ?」
「………………………」
女魔族の言葉に対して沈黙で答えるルクシオン。
言葉の代わりに端正な顔を物憂げに曇らせてため息を一つ漏らす。
「……フン、そうかよ」
鼻を鳴らしてメルドリュートは武器を構えた。
「やる気がねえんならそのまま死にな!!!!」
再びの猛攻。
大戦斧が縦横無尽に虚空を走る。
それを構えた刃槍で凌ぐルクシオン。
「つまんねえヤツだ!!! とんだ買い被りだったぜ!!!」
侮蔑の言葉を吐きながら女魔族はさらに攻撃を加速させる。
捌ききれない攻撃のいくつかがルクシオンを傷付け血を飛沫かせた。
誰が見てもルクシオンは劣勢であり、そう遠からず致命的な被弾を受ける事は想像に難くない。
(何をしているのだろう。私は……)
死の淵に立って尚、彼女の心は空虚だった。
クリスティンにもう一度会うまではと頑張ってきた。
……だけど、本当にまた会える日が来るのだろうか?
その疑問がじわりと冷たく胸を侵食していく。
暗く深い穴の底からこちらを手招きしている死神のように。
「ダメだ! いかんやられてしまうぞ!! おいお前、ちょっと行って助けてこい!!!」
「無茶言わないで欲しいのです。あんなとこに私がノコノコ出ていったら3秒で犬死に発生なのですよ」
騒いでいるメイヤーに半眼のアメジスト。
そんな2人の前で戦う両者を爆音と共に巻き上がった砂煙が取り巻いた。
目くらましを目的とした炸裂弾を何者かが放ったのだ。
「ちッ!! なんのマネだよこりゃあ……」
視界を奪った茶色い煙にメルドリュートが表情を歪める。
砂煙の中ルクシオンは何者かに手を引かれる。
「……逃げていなさいと言ったのに」
「いいから来い! バカッ! お前このままじゃやられるぞ!!」
抑えた声で言うカエデだがルクシオンの反応は緩慢だ。
その時、背後から煙幕を裂いて伸びた手がカエデの首筋を鷲掴みにする。
「ぐ……ッッ!!!」
「カエデ……!!」
苦し気に呻いたカエデ。
そのつま先が地面を離れ浮き上がった。
「つまんねえ戦いにつまんねえ横槍が入るとはよぉ。今日はとことん厄日だぜ」
カエデの首を背後から鷲掴みにしたまま持ち上げたメルドリュート。
ミシミシとカエデの首が軋み首筋に血が滴った。
「そんなに死にてえなら先にお前から始末してやるよ……!!」
冷たく瞳を輝かせたメルドリュートが腕に更なる力をこめようとしたその時、ルクシオンが鋭く刃槍を振るう。
「……クソっ!!」
腕を傷付けられてカエデを離した女魔族。
地面に投げ出されたカエデが激しく咳き込む。
「ああイラつく!! どいつもこいつも……」
叫んだメルドリュートの言葉が途中で止まった。
ルクシオンは……自分を見ていない。
彼女は空を見上げていた。
「星が……」
「あぁ?」
呟くルクシオンにその視線を追うメルドリュート。
空に星が瞬いている。
キラキラと輝きを放って。
……
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