危機一髪の冬2023~私に起こった冒険談にて~

黒羽冥

第1話ワクワク私の冒険談

私は今…変わった形の木箱に収まってる。


言うならば…これは木の樽なのである。


樽状にはなってはいるけど…これは私が身体を入れても中で自由に動けないように私が入る隙間しか出来ていないのだ。


今振り返り考えると…納得はいったのだが…立っている足元もベコベコしていて何かおかしな違和感を感じる。


樽から手を出す事も出来ない状況。


さて…何故…私が今こんな状況に陥ってるのか…だが。

私はこの世界の考古学者なのだ。


そして世界各国の様々なものに興味を持ち…現場に向かう途中にも現地住民との交流なども行ってきたのだ。


さて…そして今回は、ここ南の海のとある無人島にきた私なのだが。


ここには…これまで…ほとんど人間は立ち入って事はなかったらしい。


その原因は分からないのだが…。


私は今回この無人島に行くというと…これま私のスタッフだった者が行く事を拒否したのだ。


いたし方なく私は自力で何とかセスナ機を一台チャーターするとやっとの事で、この島へと辿り着く所だ。


ところが。


突然のエンジントラブル。


私はセスナ機を立て直そうとするも…もはや無理だった…そして。


セスナ機は海へと墜落。


私の身体は危機一髪、海へと投げ出され助かったのだ。

そして私はこの島へと辿り着く…。


まずはこの島での食料の確保をしなければならない。


私はこの島を巡り記憶にあるだけの食料を一先ず探す。


「ふぅ~~~よし!これならなんとか助けを待ちながら暮らしていけそうだな。」


私は食事をとりはじめるとそこへ人影が現れた。


私の目に映ったのは何と…二人の子供の姿。


二人は裸でよく見ると男女の兄妹のようだ。


私の食べ物の匂いに寄ってきたのであろうか…彼らはこちらをじっと見ている。


私は声をかけようと料理を手に彼らに近づこうとすると。


驚いたのだろうか…二人の兄妹は走り出す。


「あっ!?まて!!」


私がこの時走り出したのはこの子達が心配になったからだ。


こんな無人島だと思われる場所にあの子達だけ住んでいるのではないとは思うが。


私は二人を追いかける。


ジャングルの中を彼らは当然のように走っていく。


一方私の方は歩くのもやっとなのだ…素早すぎる彼らにはとても追いつけるわけではなかった。


やがて彼らの姿は忽然と消えてしまったのだ。


するとそこで私の目に映ったのは…一つの小さな集落だった。


茅葺き屋根の建物が数棟建ち並ぶこの村。


私が周囲を見回しても誰一人として目にする事がなかったのだ。


私は確認するように村の中へと入っていく。


すると。


ドカッ!!!!!という音。


私は頭部に強烈な痛みを感じると。


そこで、私の記憶は途絶えたのだった。

そして、私は今樽の中に入っているのだ。


これは一体なんなんだ??


私には全く理解できない。


ここは私が立ち入り…気絶した村なのだ。


私がここから出ようと悶えるも両手両足を動かす事も出来ない。


すると。


「…◇:…♪……✩」


一人の男が私がこれまで聞いたこともない言語で声を発しながら、こちらに寄ってきたのだ。


「ここから……出してくれ!!!」

「ンガンク!んの!んご!」

「そんな事言われても分からない!!」

「んぐ?んざんば!」

「…ダメだ……なにいってるか分からねぇ。」


俺は半ば諦めると。


そこへ一人の男が剣を持ってきのだ。


「なにっ!!???」


この樽の中に身を置いていて動けなくなっている俺にとって、その光景はとても恐ろしいものである。


あんな剣でこの樽の外からでも突き立てられたら俺はこのまま刺されて死ぬんじゃないか!?


俺の脳裏にそんな考えが浮かぶ。


「ちょっと!まてよ!そんな!これは『黒ひげ危機一髪』ではないんだぞ??そんな物で刺されたら俺は死ぬってば!!!!!」


俺はそう呟くも現地住民には俺の声は届かない。


「ンガンガ!ガンダンダ!!??」

「えっ!?なに?なんて言ったんだ??」


私はそう口にしたがまるで通じない。


すると村長らしき老人が登場する。


「えっ!?まさか、あんたがやるのか!?」

「ンン?ンン!ジ、ャン…ンガン…ケン。」

「ん?何?今ジャンケンって言わなかったか?」

「ンガン!イテネェ。」

「なんだ!?、なんなんだ!??」


俺はもう…恐怖でしかなかった。


するとジャンケンをして勝ったのだろうか…大男は大喜びしている。


見ていると村民もいつの間にか増えだしいつしか見世物になっているではないか。


ジャンケンに負け悔しがる村長の肩を叩く大男は仇をとってやろうみたいな表情でギロリと俺の方を見ている。


「いやだあああーーーーーーーーーっ!!?」


私は思わず叫ぶ。


すると…私の樽に剣を突きつける大男。


「えーーーーっ!?」

「死ねーーーーーーーっ!!!」


大男がそう聞き覚えのある日本語だろうという声をあげると。

この大樽に剣を差し込んだ。


「あーーーーっ!!死んだーーーーーっ!!」


私の大声に辺りは静まり返る。


「あれ??」


何もおきず…私は思わず瞑った目をゆっくりと開けていく。


「くくくっ!」


村長はそう言うとニヤリと笑った気がする。


「えっ?あれ?これって…危機一髪…助かったのか?」


私は安堵した。


すると今度は大男が村長から剣を受け取っているではないか?


「えーーーーっ!?まだ終わってなかったのかーーーーーー??」


叫ぶ私。


そして近づいてくる村長。


(まあ…また今回も刺される…なんて事もないんだろ。)


私はいつしか余裕が生まれていた。


よく考えると…これってどう見てもあのゲーム。


『黒ひげ危機一髪』だよな。


私がそんな事を考えていると今度は村長がその手に剣を握り私の目の前、樽越しに立っていたのだ。


「ふん!爺さん!どうせゲームをやった気になって遊んでるだけなんだろ?さぁ!ここから出してくれよ?」


私はいつしか心に余裕を持ちそう言い放つ。


すると。


老人の目はキラリと光った気がした。


「えっ!?」

「ワシのこれまで…このゲームでの発射率は百パーセント…だ。」


あ!なんか今の言い方かっこいい!なんて考えていた私。


すると老人は大声を上げる。


「死にさらせーーーーーーーーーっ!!」

「うわぁぁぁーーーーーっ!!!」


私も、その声に思わず声を上げてしまった。


そしてグサリとまたもや樽に刺さる剣。


「えっ!?あれ?」


私は今回も安堵した。


深い息をはく私。


「ふぅーーーーーやっぱりこのゲーム…」


私がそこまで言葉にした…その瞬間。


急に足元の床板がガタガタっと動き出す。


すると、私の身体が飛び出さない様にとめてあった止め金が全て一気に外れる。


そして。


足元の板は急激に加速し私の身体を思い切り吹き飛ばす!!!!!


「まじかーーーーーーーーーーーーーっ!!」


それは俺が黒ひげ危機一髪の黒ひげになり…この島の空を飛んだ瞬間だった。

お読み下さりありがとうございました。


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