魔力を持つ名家で生まれながらその力が制御出来ず母親から疎まれていた令嬢と、覇気なる力を纏い武の誉れ高い名家に生まれるも覇気の力が授からずしかも庶子であった為家族のみならず使用人からも蔑まされていた令息が、路地裏で雪を被り泣き崩れる令嬢を励ましてを触れた事で、それまで魔力の暴走で苦しんでいた令嬢が落ち着きを取り戻すと共に慰めてくれた令息に心を惹かれ、令息も冷静となった令嬢が気に病み、お互いその素敵な出会いの記憶のまま、後10年の時を経て令嬢の方から令息に婚約を申し出て結ばれる。只、2人の家門は古来より、魔力と覇気という一族固有の人外の力を保有し、それぞれ領地隣接の他国との諍いを鎮める任があり、お互いを敵対視していた為、彼との婚姻を望む彼女はその為に次期領主候補の長姉を疎外し、領主の母親から領主の地位を簒奪した後領主となり、隣国との対立を終結させ、王族からの覚え宜しい立ち位置で敵対する領主で彼の両親へ彼との婚約の申し出をするという盤石さで婚約を勝ち得た。只、彼女との地位の格差に悩み苦しむ彼であったが、彼女の優しさと自身の覇気は無くとも武術への弛まぬ努力の結果、次期領主候補の長兄を打ち負かし、父親から次期領主に任命され、後領主となり、妻と同格の地位を得て、さらに両家統一の夢を実現させる、というとても壮大で素敵な作品に感動しました。