第3話 朝起きた
まだまだ冒険者としては未熟な俺は、カレーの素材集めに疲れていたこともありぐっすりと眠ることが出来た。
そして、朝がやって来た。
ごそごそごそ。
布団が波打つ音に目が覚めた俺が布団を上げると、いつもの小型生物の姿あった。
「またお前か」
今日に始まった事では無いので、もはや驚きも何もないが、そりゃあ最初はこの転生した世界とオサラバしそうなくらい驚いたもんだ。
「今日も正常」
そう言って、親指をビッと立てた。
何が正常かって?
そりゃあ、若い男が朝に起きる事と言えば三本目の足がギンギンになる生理現象、いわゆる朝立ちというやつだ。
ちなみに、ユウキがするのは確認だけであってそれ以上は無く、俺達は清い関係を保ったままである。
というか、そもそも付き合ってすらいないが。
「あ、しぼんだ」
ユウキはそう言うと、残念そうに布団から出る。
彼女が布団から出て、間もなく俺も着替えるべく布団からオサラバする。
着替えのために洋服ダンスを開ける…必要も無く、先んじて彼女がパタパタと軽快に小走りをしながら勝手に洋服ダンスを開けて着替えの服を取り出してくる。
「別にそこまでしなくても良いぞ」
「これは妻としての責務」
「いや、結婚してないからな。つか、今の発言は色んな方向から攻撃されるから止めてくれ」
まぁ、もっとも、この異世界では誰がどんな行動をしようがそれを責める連中など存在しないのだが。
そんなこんなで、着替えた俺はユウキと共に部屋をあとにしたのだが、部屋を出てその時に初めて彼女の後姿を見ることになる。
「というかお前、なんで裸エプロンなんだ!?」
「妻としての………」
俺はユウキの言葉を最後まで聞くことなく、お姫様抱っこをして彼女の部屋まで100m8秒くらいのスピードを出したつもりで駆け込み、学生服に着替えさせたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます