第50話 雑誌には有益な情報がたくさんある。
信長は、ミラン先輩に連れられて風紀委員活動室へと飛ばされた。
「いきなり何をするのだ!」
「大変なんだ、結衣くんがどこにもいないのだ!」
「え、」
信長は少し考えると。
「きっと、お腹を壊してトイレに篭っているのでは?」
「バカ! バカバカバカ! ふざけてる場合じゃないでしょ!」
ミラン先輩は、活動室の奥から、古びたリュックサックを引っ張り出してきた。
「昨日の事があっての今日だよ。きっと1人で蒼月華を探しに行ったんだ。」
「さすがの結衣もそこまでバカではあるまい。」
「何を言ってるの、信長くん。結衣くんは、1人で行っちゃうのような人だよ。」
「い、いやーそれに! 結衣なら蒼月華とやらに出会っても逃げれるんじゃないか!」
「違うよ信長くん、結衣くんは蒼月華に会って戦うつもりだよ。」
そんな、と信長は窓の外を向いた。
「だから蒼月華に遭遇しちゃう前にボクたちで結衣くんを見つけなくちゃいけないんだ。」
「そうか。なら、その袋に我の荷物も入れて良いか?」
「いいよ!」
30分後。
信長とミラン先輩は、結衣を探すための準備を整えた。
「じゃあ、行くよ。」
「分かったぞ。」
「ちなみに、心当たりはあるのかい?」
「1つだけ、ある。」
――――――――――
「久しぶりじゃな、結衣。」
「アーシさん、1つ頼みたいことがあるんです。」
「なんじゃ?」
結衣は、"極点"であるアーシに会いに来ていた。
目的はただ1つ。蒼月華を倒すことに協力してもらうためだ。
「私と一緒に戦ってください。」
「蒼月華か?」
「なぜ、それを。」
「蒼月華についてなら無理じゃな。」
「なんで!」
「足でまといを引き連れて戦うのは嫌じゃ。」
「足でま……とい。」
そっか。
私は、足でまといなんだ。
「そう、ですか。」
「結衣、最近この近くに一夜城が出来たのを知っているか?」
「知りません。」
「ワシの考察にはなるが、恐らくその一夜城に蒼月華の持ち主はいるぞ。」
「ありがとうございます、それでは。」
結衣はそう言うと、アーシのいる部屋を出た。
広大な大地に立った結衣は、周りを見渡した。
そして、ある物を見つけた。
「あれが、アーシさんの言っていたやつか。」
結衣の視線のその先には、木で簡単に作られた建物があった。
ターボン学園に入学する前にこの辺に来た時は、あんな建物はなかった。
「一夜城……、そこにいるのか。」
結衣は、その一夜城へ向けて歩き出した。
――――――――――
「それで信長くん、心当たりがあるって聞いて来たんだけどさ。」
「なんだ、ミランよ。」
「どうして、売店なのさ!」
「まずはフライを買う必要があるからだろ!!」
ミラン先輩はため息をついた。
「早く買ってきて。」
「分かった!」
そして、しばらくの時間が経った時、信長が袋を抱えて売店から帰ってきた。
「さぁ信長くん! 心当たりのある場所へ行こうか!」
「うむ! 恐らくだが結衣は、我と初めて出会った場所に行っている。」
「なんでそう思うの?」
「分からぬ!」
「もう、信長くん!」
「分かっておる、ふざけてる場合ではないと言いたいのだろ?」
すると、信長は先程買ってきた袋から1冊の雑誌を出した。
「これを見るが良い!」
「なんだいこれ?」
「先日、一夜城なる城が建築されたらしい。」
「ここにいるって考えてるの?」
「その通りだ!」
「その理論が分からないけど。」
ミラン先輩は、信長から雑誌を貰って本文を呼んでみた。
「えーっと、一夜城の最上階には不思議な刀が置いてあるらしい。って、これってもしかして蒼月華!?」
「我はそうなのではないかと予想したのだ。」
「行ってみる価値はありそうだね!」
ミラン先輩は地面に魔法陣を書いた。
「行くよ、信長くん!」
――――――――――
夜になっていた。
「今日は、とても良い晩じゃ。とても、月が輝いておるんじゃ。こんな美しい月を見ておると、かぐや姫でも降りてくるんじゃないかと思うが、えらいべっぴんさんが降りてくるとはな。」
一夜城に潜入した結衣。
そこには、ラワとは違う男が月を眺めていた。
結衣はその男に指を突き付けた。
「お前、誰だよ。」
「べっぴんさんには、しっかりと教えてあげねばな。」
「早く名前を言えよ。」
結衣は更に強く、指を突き付ける。
「儂の名前は、豊臣秀吉じゃ。」
「豊臣秀吉……!? 確か、戦国時代の……。」
信長がいるんだから、秀吉がいるのもおかしくないか。
「1つ聞きたいことがある。」
「なんじゃ?」
「ラワは、ここにいる?」
「もしかして、ラワと蒼月華を知っているのか。」
「知ってるけど何?」
「じゃあ、見過ごせないんじゃ。」
秀吉はそう言うと、一瞬で姿を消した。
「【
結衣の指先に【
「【
秀吉が消えたであろう位置に、作り出した
「【
更に【
「【
轟音が鳴り響く。
逃げ場なんてない。これで秀吉に多少の攻撃ができてるはず。
それともやりすぎたか。
「怒ってるのも、強いのも、やはり可愛いのう。」
「え?」
「安心するがいいのじゃ、殺しはしない。」
「くっそ!」
秀吉は、結衣の打つ球を全て避け、元の位置に立った。
「さてと、君の名前を教えて欲しいのじゃ。」
「田中結衣。」
「そうかそうか、結衣ちゃんか。」
瞬間、秀吉は一夜城の壁を登りだした。
「何それ、猿みたい!?」
「猿と呼ぶのか儂を。」
「い、いや別に!」
「まぁいい、べっぴんさんは許す。でも、次言ったら……」
秀吉はそう言うと、登った場所から勢いよく飛び降りた。
またしても轟音が鳴り響く。
「潰してやろう。」
まるでゴリラのような姿になった秀吉が結衣の目の前に現れた。
「じゃあ、結衣ちゃんの要望に応えてあげるよ。」
その時、結衣の目の前が蒼く輝いた。
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