第51話 いいか、フリガナは大変なんだ。

「ラワ!」


 結衣は、指を向けた。


「ラワよ、くれぐれも殺さないように。」


「分かりました、秀吉様!」


 ラワは秀吉にそう言うと、蒼月華を抜いた。


「【蓄積チャージ】」


「【蓄積チャージ】!」


「【蓄積チャージ】!!」


「【蓄積チャージ】!!!」


「【蓄積チャージ】!!!!」


「【蓄積チャージ】!!!!!」


「【蓄積チャージ】!!!!!!」


「【蓄積チャージ】!!!!!!!」


 結衣は、蒼月華の攻撃を避けながら【火球ファイヤーボール】を【水球ウォーターボール】を【氷球アイスボール】を【風球ウィンドボール】を【雷球サンダーボール】を【土球アースボール】を【光球ライトボール】を【影球シャドウボール】を作り出した。


 そして、作り出した全ての球を。


「【発射ショット】!」


 一斉に放った。


「1個くらい当たるでしょ!」


 その時だった。

 ラワが蒼月華を手放した

 ラワの持っていた蒼月華の刃が一気に蒼く輝き、結衣の打ち出す全ての球を切り落としていく。

 刀自信が動き出して。


「いやー、まさかイリスって女の子が"グローシャン家"の人間だとは思わなかったよ。グローシャン家といえば、親子揃って剣の"極点"になっちゃってる家だろ? 今では"極剣"なんて呼ばれてたりするけどね。あの程度の血の量で蒼月華が覚醒するとは思わなかった。」


「やっぱり、お前がイリスをやったのか!!」


 刀が最後の球を切り落とす前に。


「【蓄積チャージ|:巨大化ジャイアント】」


 更に大きい【水球ウォーターボール】が結衣とラワの間に作られた。


「全部、ぶっ飛べ!! 【発射ショット】」


 刹那、音が消えた。

 結衣の作った【水球ウォーターボール】が何かをした訳では無い。


「凄いね君。蒼月華じゃなかったら、死んでたよ。」


 蒼月華が【水球ウォーターボール】を飲み込んだのだった。


「なん、で。」


「蒼月華だからだよ。」


 まだ、やれることはある!


「これならどうだ!」


 大量に【蓄積チャージ】を行う。


 結衣の指先に、肉眼では視認できないほどの大きさで無数の【火球ファイヤーボール】が作り出される。


 そして、もう1つ。

 普通の大きさの【土球アースボール】が【火球ファイヤーボール】の後ろに出来上がる。


 さらにもう1つ。とても柔らかい【水球ウォーターボール】を【土球アースボール】の後ろに。


 最後に大量の【雷球サンダーボール】を作り出す。


「【発射ショット】!!」


 最初に【雷球サンダーボール】が打ち出され、ラワの身動きを多少でも止める。


 そして、大量の【火球ファイヤーボール】が爆発する。

 爆発に爆発を重ね、【土球アースボール】に威力と速度を上乗せさせる。

 最後の【火球ファイヤーボール】が爆発した時、物凄い速さの【土球アースボール】が柔軟性のある【水球ウォーターボール】へぶつかる。

 勢いを増した【土球アースボール】を全て受け止め、そして、更に勢いを上乗せさせ、跳ね返す。


 跳ね返された【土球アースボール】がラワへと放たれる。

 その速度はかなり速い。


「これが、私の全力だ! 【蓄積チャージ】|:巨大化ジャイアント


 最後にダメ元で巨大な【水球ウォーターボール】を打ち出した。


「はァァァァァァァァ!」


 魔力をもっと込める。

 更に早く。更に力強く。


 だったが。


「なんで俺が、お前の【蓄積チャージ】を最後まで待ってあげてたか分かるか? 俺の蒼月華なら余裕で打ち消せるからだよ!」


 すると、蒼月華の影から植物のツルのようなものが生えた。

 そのツルは、絡まり合い1つのモンスターのようになっていった。


「食っていいぞ、蒼月華。」


 結衣の打ち出す全ての球を蒼月華は食べた。

 そして、その勢いのまま影から更にツルが伸びて、結衣の足を絡めラワへと引っ張る。


「【蓄積チャージ】」


 【水球ウォーターボール】を作り出す。


「【発射ショット】」


 【水球ウォーターボール】でツルを攻撃するが、攻撃は効かなかった。

 球が貫通していった。


「影だからな、効かないんだよ。」


 そして、ラワは蒼月華を鞘に戻した。

 結衣の身体はその場で止まった。


「【蓄積チャージ】!」


「遅い!」


 鞘に入ったままの蒼月華が結衣の顔面を殴りつけた。


「ァァァァ!」


 そしてラワは蒼月華を抜いた。


「血を吸っとけ、蒼月華。」


 影からツルが出現し、結衣の身体のあちらこちらに刺さっていく。


 結衣は悟る。

 あぁ、私は助からないんだ。

 と。


 その時だった。


「ちょっと待ったぁぁぁぁ!」


 真上から人が降ってきた。


「結衣くぅぅぅぅん!!」


 ドン! という音が鳴り響いた。


 結衣はゆっくりと見た。

 そこには、大好きで守りたいと思った風紀委員たちがいた。

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