第45話 闇を祓って闇を祓って。

「さて、麻痺薬と麻痺治療薬を調合するらしいけど、どうします?」


 結衣たちは早速、テントの中で作戦会議を開いたのだが。


「それでな、この後の展開がだな!」


「分かる! 分かるよ信長くん!!」


「そうか! そうであろう!!」


 信長と伊家乃面之助が週刊少年フライのトークで盛り上がってしまっていた。


「はぁ、やっぱりこうなるんだ。」


 その時だった。


「ちょっといいかしらー?」


 結衣たちのテントにレスミが入ってきた。


「結衣ちゃん、ちょっと話があるんだけどー。」


「あ、うん。」


 え、怖。


 テントの外に出ると、ナズもいた。


「明日の朝に洞窟に行くんだけど、一緒に行かない?」


「え、」


 レスミの圧が怖い。


「アタシたちはー、面之助くんと行けたらそれでいいんだけどね。」


 ナズの圧も怖い。


「じゃ、じゃあ行きましょ。」


 てな訳で次の日。


「起きるのだ結衣。洞窟に行くんのだろ?」


「えー、私はいいよ。面之助と行ってきてー。」


「はー? 我は、お主と洞窟に行きたいのだ!」


 いつもならイリスに起こしてもらうのだが、今日は信長に起こしてもらった。

 でも、信長だと目覚めが悪い、気がする。


「面之助は起きてる?」


「みんなお主と違って、時間通りに起きておるぞ。」


「みんな凄いね。」


 結衣は1度伸びると、テントを出た。


「レスミとナズは?」


「確か、化粧をするからあと1時間は待てとの事だ。」


「嘘でしょ。」


 化粧なんて必要あります?


「今、終わったわ!」


「うちも〜。」


 ナズとレスミがテントから出てきた。


「あれ、メンバーは?」


 と、結衣が言う。


「1人で行くのよ」


 と、レスミ。


「同じくだわ。」


 と、ナズ。


 あ、はい。分かりました。

 と、結衣は心の中で思った。




 そして、結衣たちは洞窟の中に来た。


「こ、怖いよー(棒)」


「アタシも怖いのー(棒)」


 レスミとナズが面之助にくっつきながら、明らかな演技を披露する。

 その時、


「シャァァァァ」


 へ?


「ホントに怖いの出てきたよォ!?」


 と、イリスが叫んだ。

 そう、イリスが嫌いなもの。

 それは、虫だ。

 巨大な虫が現れたのだ。


「虫は無視無視。」


 と、結衣が言う。


「むむむむ無視なんて出来るわけ無いでしょォ!」


 その時。


「しょうがないなー、イリスちゃんは。」


 と、面之助が言う。


「あの虫を倒すのか?」


 と、信長が言う。


「行くよ、見ててね。あと、僕から離れないでね。」


 すると、面之助は顔の前に人差し指を突き立てた。


「術式反転『赫』」


 すると、人差し指に赤色の玉ができ、それが虫へと放たれた。

 その玉に当たった虫は、その場で吹き飛ばされた。

 壁に勢いよく打ち付けられた虫は、潰れてしんでしまった。


「はい、終わり。」


「凄い! 凄いぞ!! まるで呪いみたいだ!!」


「まあね。」


 と、信長と面之助が会話する。


「す、凄かったァ。」


「ね。」


 と、イリスと結衣が会話する。


「ちょっと、あなただけずるいのよ!」


「アタシも助けて欲しかったー!」


 と、レスミとナズがイリスに叫ぶ。


 てか、そとそもね。

 と、結衣が言う。


「その技、色々と危ない気もするんだけど。」


 しかし、誰も聞いていない。


「ちなみになんだけど、」


 と、面之助が言う。


「術式順転『蒼』もあるんだよ!」


「ちょい待てーい!!!」


「なんだい?」


「それ以上、何も言うなよ!」


 はぁ、疲れる。

 と、結衣は思った。


「先に進むよ。」


 と、結衣は言う。


 洞窟を先に進むと、お目当ての物があったらしい。


「コレよコレ! これを探していたのよ!!」


 と、レスミが言う。


 だが、イリスは不思議そうな顔をしていた。


「どうしたの? イリス。」


 と、結衣が聞く。


「いや、今レスミが採った草って、麻痺薬も麻痺治療薬も調合出来ないはずなんだけどな、って思って。」


「じゃあ、何が目的なんだろ。」


 その時、結衣は気がついた。


 レスミの後ろから何かが近づいてきている事に。

 レスミの後ろから近づいてきているのは、巨大なモンスター。


「れ、レスミ。後ろ!」


「え?」


 ゴォ! という音が洞窟内に響いた。


「キャァァァァァァ!」


 ガチトーンの叫び声だった。


「もう、しょうがないわね!」


 結衣は手をモンスターへ向けた。

 だが、面之助が結衣の手を掴んだ。


「なにするの!」


「僕のファンらしいし、少し僕にカッコつけさせてよ。」


「え?」


 そう言うと、面之助はレスミへ向けて飛び込んだ。

 そして、レスミの身体を掴み自分へ引き寄せた。


「え、カッコイイ。」


「まぁ、見ててよ。」


 面之助はそう言うと、目をゆっくりと閉じ、そして目をゆっくりと開けた。

 開いた目は、とても綺麗な青だった。


「も、もしやその目は……!?」


 信長が敏感に反応した。


「あれは、フライで読んだやつなのだ!!」


「ちょ、止めないと! 止めないと、色々と不味いよ!」


「大丈夫だ。面之助に任せるが良い。」


「いや、そうじゃなくてさ。」


 と、信長と結衣が話す。


 その間にも面之助は、淡々と攻撃を準備をしている。


「見せてやろう、本当の呪術というものを。」


 と、面之助が言う。


「面之助よ! それは別の人の台詞だぞ!!」


 と、信長。


「領域展開。」


 気づいた時、モンスターの首を面之助は抱えていた。


「ね? 大丈夫だったでしょ。」


 大歓声が起きた。

 主に2人の。


「よし、目的の物は手に入ったんでしょ?」


「う、うん。」


「じゃあ、帰ろっか。」


 自分たちのテントまで帰ってきた信長たちは、早速調合を開始した。


「まぁ、私たちはちゃんとした材料を採ってくるんですけどね。」


 と、結衣は呟く。


 かくして、キャンプが終わった。


 学園に帰っきた信長たちは、薬の出来の結果発表を聞いていた。


「みんなお疲れー。」


 と、先生が言っている。


「じゃあー、早速結果発表するよー。今回、1番良い薬を作ったのはー。」


 教室内が静かになった。


「信長くんチームだよー。」


 拍手が発生した。


「さすが、面之助くんだね。」


「やっぱ、私の面之助くんは凄い!」


 と、レスミとナズは言っているが、本当はイリスの知識のおかげなんですけどね。


「やっぱ、イリスは凄いね。」


「でしょォ〜。」


「「ハハハハハハハハハ!」」


 と、結衣とイリスは言って笑いあった。

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