『モテる男はつらいよ』篇
第43話 スーパー陽キャ属性のあの人も、きっとオタクだよ。
ある日の教室。
信長たちは、先生からとある話を受けていた。
「皆さん、1週間後には何があるか知っていますねー?」
と、信長たちのクラスの担任であるバージンは言う。
バージンの言う1週間後。それは、班別野外演習というものだ。
クラスで4つ程のグループに別れ、班ごとにキャンプを行うというもの。
「今日はその班別野外演習の班決めを行いたいと思いますー。」
学園での生活が始まってだいぶ時間がたっているので、クラス内でもいくつかのグループが出来上がり始めている。
そのため、班決めはスムーズに決まっていくこととなる。
本来なら、このイベントでクラス内の絆とやらを深めていくのだろうが、ここまでグループが別れてしまっていると、もはや争いになるのではないかと思うほどだ。
というのも、この信長たちのクラスであるD組は、少々訳ありとなってしまっている。
「我は、結衣たちと組ませてもらおう。」
信長は先陣切ってそのように発言する。
そんな信長に着いて行くように、モノカ、タチナ、ハエナもやって来た。
よって、信長、結衣、イリス、モノカ、タチナ、ハエナの6人のグループが出来上がった。
そして、他のグループの様子を見てみる。
すると、
「な、なんだかバチバチしてるね······。」
と、結衣が思わず口に出してしまった。
現在、信長たちのグループの他に3つのグループが出来上がっている。
1つは、男たちで結成されたジュール熱が凄そうなグループ。
そして、残りの2つはクラスのスクールカーストの上位に君臨していそうな、クラスのマドンナみたいな女帝みたいな人達により結成されているグループ。
1つのグループのリーダーは、レスミ。
もう1つのグループのリーダーは、ナズ。
「あの2つのグループがバチバチしてるのはねェ、あの男の子が原因みたいよォ。」
と、イリスがある一点を指さしながら言った。
その先には、とてもキラキラしたオーラを発している男子。
そう、イケメンってやつだ。
「あらイケメン。」
と、結衣が言う。
「面之助くんは、うちの者なの!!」
と、レスミが叫ぶ。すると、レスミの後ろから、そーだそーだ! という声が聞こえる。
「いーや! 面之助くんはアタシの者だから!!」
と、ナズが叫ぶ。すると、ナズの後ろから、そーだそーだ! という声が聞こえる。
「「ねぇ! 面之助くんはどっちのグループに入りたいのよ!!」」
すると、レスミとナズの2人は、同時に面之助と呼ばれるイケメンに言い寄った。
ちなみに、面之助は苦笑いをしている。正直、迷惑がってそう。
「えーっと、僕はあそこの信長くんのグループに入ろうかなって考えてるんだよね。」
すると、面之助は信長を指さした。
同時にレスミとナズが信長を見る。
それまた同時に結衣やイリスたち、なんならクラスの全員が信長を見た。
「おぉ!
そう。
実は、この2人。
フライが好きという共通の話題から、とても仲良くなっていたのである。
信長はとてもコミュ力が高い。基本的には、誰とでも仲良くしてしまう。
それは、クラス内でとても人気のイケメンでもだ。
そしてその結果、信長たちのグループは、スクールカースト上位の2つのグループに目をつけられる事となってしまった。
――――――――――
「それでぇ? ノブナガクーン。聞きたいことがあるんだけど······。」
「奇遇だね、レスミ。アタシもなの。」
昼休みの始まりを知らせるチャイムが鳴るのと同時に、信長の座っている席にレスミとナズがやって来た。
「うちの······」
「アタシの······」
「「面之助くんに何したの!!」」
信長は固まってしまう。
いや、何したって一緒にフライの作品について語り合っただけだし?
呪いあってるあの作品の最近の展開とかヤバくねとか?
ヒーローの育成学校みたいなあの作品の最近の展開やばくねとか?
あの恋愛漫画ヤバくねとか?
実は本誌だけじゃなくて別冊の方にも面白い作品が揃ってるんだとか?
そりゃー、フライオタク同士、語る内容なんて山ほどある。
キャンプをするという事は、一緒に泊まるということ。学校内でしか話せなかったが、夜も一緒に語り合える良い機会だ。
そりゃ、一緒の班になりたいでしょ。
などと、色々と思うことはあるが、珍しくその事を心の中に秘め信長はこう答える。
「友達だから仕方ないのだ。」
と。
当然、それで納得するはずもなく。
信長は昼休みの間、永遠と2人の相手をする事となってしまっていた。
結衣とイリスは、その様子を眺めながら、こっそり教室を後にし、風紀委員の活動室に向かったのであった。
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