第42話 暑すぎる日はイライラが溜まるよな。

「ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!? どうなってんのォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ」


「うるさいよ信長! それよりも、早く救急車を呼ばないと!」


「わ、わ、わわわわわわわわわわわわわわわわかった!」


 信長たちは、突然銃によって撃たれてしまった女の子に駆け寄った。


「だ、大丈夫ですか?」


「え、えぇ、なんとか、ね。急所は外れたみたいだから。」


「そ、そうです、か。」


「それよりも、君たちに1つ頼みたいことがあるんだけど、いい、かな。」


「え、頼みたいこと?」


 何やら、めんどくさい事になりそうな予感。


「なんですか?」


「さっきの男は、『悪の組織』という名前の悪の組織で、この世界を征服しようとしているの。」


「へ?」


 悪の組織って名前の悪の組織って。もうちょっと、名前を考えられなかったものだろうか。


「そ、それで?」


「その『悪の組織』に奪われたあのスイッチ。それは、この世界を破壊することができるスイッチなの。」


「へ、へぇ。」


「その『悪の組織』にあのスイッチが渡ってしまったら大変なことになる。だからお願い。『悪の組織』からあのスイッチを取り返して欲しい。そしたら、エアコンでも扇風機でも好きなものを持って行って貰っても構わん。」


「え? 無料!? もちろん行くよ!」


 話を聞き終えた結衣は、信長の肩を叩く。


「行こ。」


「え? 我も!?」


「そうだよ。」


「えー。」


 こうして、信長と結衣は、女の子からの案内を受け、『悪の組織』の基地へと向かった。


「ここ、か。」


「え、我も本当に行かないとダメ?」


「ダメー。」


「わ、分かったぞ。」


 『悪の組織』の基地は、入口に大きく『悪の組織のきち』と書かれていたので、分かりやすかった。


「おーい! お客様だぞー!」


 突然、結衣が入口の扉へ向けてそのように叫び出した。


「お、おいィィィィィィィィィ! 敵が来ちゃうだろォォォォォォォォ!」


「いや、私たちは、早くこの『悪の組織』を滅ぼして、エアコンと扇風機を貰わないといけない。」


「は、はい。」


 しばらく待つが、扉が開くことはなかった。


「めんどくせーな。」


「!? 結衣さん、怖いですよ。」


「【蓄積チャージ|:巨大化ジャイアント】」


 結衣がそのように詠唱した。すると、信長や結衣よりもかなり大きな【土球アースボール】が出来上がった。


「【発射ショット】」


 すると、結衣の手元から巨大な【土球アースボール】が放たれ、悪の組織の基地の建物ごと扉をは破壊した。


「ェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェ!?」


 悪の組織のメンバーはかなり驚いている様子。


「こっちはね、暑くて暑くてイライラしてんの。お前らごときに構ってる時間なんてないわけ。」


「ヒッヒィィィィィィィィィィィ!!」


 悪の組織はその圧倒的な戦力差に勝ち目をなくし、その場から逃げ出した。

 だが、


「逃げんじゃねーよ。」


 結衣の体内から大量の魔力が溢れ出した。

 そして、その魔力は悪の組織に恐怖という形で印象を与えた。


「あ、あ、ァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!」


 悪の組織は逃げることも怖くて出来なくなってしまった。


「【蓄積チャージ|:極微ミクロ】」


 結衣の手元には、無数の小さな【火球ファイヤーボール】が作り出される。


「【発射ショット】!!」


「ぎゃァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」


 この日、悪の組織という名の悪の組織が滅んだ。




――――――――――




「ァァァァァァァァァァァァァ、エアコンに扇風機。最高だわー。」


「私のお陰ですからね、先輩。」


「なんか、噂だとエアコンを巡って戦ってたとかなんとか。だろ? 信長くん!」


 活動室にて。エアコンと扇風機を手に入れた結衣たちは、早速フル稼働させて至る。

 そんな中、噂を聞きつけたミラン先輩は、その事実を信長に聞いた。


 だが、信長は。


「いや、あれは、うん。」


 微妙な反応をしていた。


「どうしたんだい? 信長くん。」


「我は、結衣を怒らせてはいけないということを学んだぞ。」


 と、とても青ざめた表情で言っていた。


「え、結衣くん。何をしたの。」


「ま、まぁ。色々と。」


「へー。」

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