『真夏の大冒険』篇
第41話 暑すぎる日は何もしたくないよね。
「ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"」
とある真夏の日の活動室。
活動室の中からは、うめき声のようなものが聞こえてきていた。
そんな活動室の扉を信長は、ゆっくりと開けた。
「し、失礼するーぞ。」
中には誰もいない。
信長が一番乗りだったようだ。そのこともあり、エアコンがついていない。そのため、ものすごく暑い。
だが、1つ疑問が残る。活動室の中から聞こえたあのうめき声は誰の声だ?
「ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"!!!」
次の瞬間、何者かが信長の足首を勢いよく掴んだ。
「ぎゃァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
信長の足首を掴んだのは、ミラン先輩だった。
それも、汗だくでワイシャツを脱いでしまっているミラン先輩だ。
「なんだ、ミランか。」
「あまり、ボクを見ないでね。」
「心得ている。だが、なぜワイシャツを脱いで下着姿でいるのだ?」
「暑いからだよ!」
「エアコンというものをつければいいでは無いか。」
「壊れちゃったんだよ!」
「は?」
「だから、エアコンが壊れちゃったの!!」
――――――――――
「それで、なんで私と信長がエアコンと扇風機を買ってくる係になってるのかな。」
「それは、我にも分からん。」
信長と結衣は、ターボン学園のショップスペースへと来ていた。
ミラン先輩に頼まれた、エアコンと扇風機を買ってくるためだ。
「じゃあ、私が買ってくるから。信長は外で待っててね。」
「分かったぞ!」
お目当ての家電量販店に到着すると、急いで結衣が店の中へと入っていった。
その10分後。
「大変だ、信長。」
「ど、どうしたのだ?」
「エアコンも扇風機も売り切れてる。」
「......嘘、だろ。」
2人は急いで走り出した。
ターボン学園に存在している家電量販店は全部で3つ。
「やっぱ、夏だから売り切れてるのよ!」
「そんな事、我に言われても困る!」
2人は、2件目の家電量販店に着くと、すぐに店の中に入り店員に向けて叫んだ。
「「エアコンと扇風機売ってますかァァァァァァァァァァァァァ!?」」
「すみません、売り切れていまして。」
「「次行くぞォォォォォォォォ!!」」
しかし、3件目でも同じように売り切れていた。
「ど、どうするのよ。これじゃあ、この夏、まともに活動が出来なくなるよ!」
「あ、」
「どうしたの、信長。」
「あそこに行こう。」
「あそこって?」
「あそこだよ、あそこ。あの、あそこ。」
「だから、あそこって?」
暑さのせいで結衣がイライラしてきている。
「あの、あそこ。ミサイクルみたいな名前のやつ。」
「リサイクルショップね!」
「そうそう、それだ!」
2人は、ターボン学園に存在する唯一のリサイクルショップへと走り出した。
「ハァハァ、すみませーん。」
リサイクルショップに信長の低い声が響いた。
「ハァハァ、エアコン、あと、扇風機、売って、ますかぁ。」
2人は、ゆっくりとリサイクルショップに入っていった。だが......
「あんたら、何者だい?」
中にいたのは、1人の女の子だった。
格好は、上はサラシを巻いているだけ。下は、ボロボロのミニスカートだ。
「私たちは、ただのターボン学園の生徒で......。」
「なんだ、ただの生徒か。安心したわ。」
その言葉を聞いた信長は、心の中でこう呟く。
ただの生徒じゃない人って何者!?
「えーっと、エアコンと扇風機だっけ? いくらでもあるから、好きなの持ってきな。」
「あ、ありがとうございます!」
結衣たちは、女の子からの誘導を受け、じっくりとエアコンと扇風機を選ぼうとしていた。
その時だった。
「おい、ここにあの女はいるか?」
「......ん?」
リサイクルショップの入口で大きな声をあげている大男が入店した。
「アタイに何か用?」
「やっぱりここにいたみてーだな。」
「用があるならすぐに終わらせるんだけど?」
「じゃあ、すぐに終わらせよう。」
何かが始まった。
そのように考えながら、信長と結衣は、エアコンと扇風機が置いてある棚からこっそり覗いていた。
「言ってるだろ? アタイはそんなもの持ってない。」
「嘘をつくな。」
「んで? 今日は、何をしてくれるって言うんだい?」
女の子がそう言った時だった。
――パァァァンッッッ!!
甲高い銃声のような音が店内に響き渡った。
その音と同時に、女の子の肩から赤黒い液体が流れ出していた。
「ほ、ほんもの......。」
女の子はそう言い残し、その場に倒れ込んだ。
「よし。」
男は、女の子が意識を失ったことを確認すると、サラシの奥に手を突っ込んだ。
そして、その奥から取り出したのは、謎のボタン。
「これで、この世界を征服する準備が整った! ハーハッハッハッ!!」
男はそう叫ぶと、店から出て行った。
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