第25話 熱いバトルシーンが書けるようになりたい。
キブカ村の夜。
その夜の暗闇の中を、信長は1人で歩いていた。
「なんだよ、フライ売ってないではないか。」
信長はキブカ村で暇をつぶすための週刊少年フライを探していた。
しかし、今のキブカ村の夜の闇の中で活動しようとする者はいない。
というか、そもそもこの村にフライは売っていない。
「ここにあるのではないか。誰かが捨てているかもしれないからな。」
信長はそう言って、とある民家の外にある樽の中を覗いた。
「......、」
しかし、信長はそこである物を目撃する。
「お、お主。そこで何をしているのだ?」
樽の中にいたのは男だった。
「テメェこそ何してんだよ。」
「いや、我は週刊少年フライを探していてな。」
「そうかよ、じゃあ俺の事は見なかったことにしてさっさと消えることだな。」
そこで信長は、自分がキブカ村にいる理由を思い出した。
「そういえば、我の仲間たちは畑を荒らし、村の人を拐っている犯人を探しているって言ってたな。」
「......!?」
男は信長の言葉を聞くと、腰からナイフを抜き、樽の中から飛び出した。
「テメェ! そのことを知ってるなら、このまま帰すわけにはいかねえな!!」
「え、なぜだ? お主は隠れんぼをしてただけなのではないか?」
「うるせぇ! 俺がその犯人なんだよ!」
「え、」
男は、ナイフを信長へ向けて振り下ろす。
信長は、そのナイフを避ける。
「あ、危ないではないか! 何をするのだ!!」
男は、その後も信長を襲う。
「や、やめろ!」
信長は男との距離をとる。
そして、ある程度の距離が空いたととき、一気に走り出し男から逃げ出した。
「逃がすかよ!」
男はそう言うと、ナイフを夜空へと向けた。
すると、突然ナイフから光が現れ、信長へ襲いかかる。
信長は振り返りつつ、その光が自分へと迫っているのを確認する。
「どぅわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁヌグハアナァサタァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!! 頼む! 頼む! 頼むから助けてくれよォォォォォォォォォォォォォォォォォォォオォォ!!」
その瞬間、凄まじい電撃とともに光が真っ二つに折れた。
「......!?」
「遅くなってゴメンねェ。」
そこにいたのは、イリスだった。
「イリスか! 助かったぞ!」
「ミラン先輩に村の人を避難させるように言ってェ。」
「分かったぞ!」
信長は、村の中央に向けて走り出そうとした。
その直前で、信長はイリスに伝えた。
「イリス。」
「なにィ?」
「死ぬんじゃないぞ。」
「はいィ。」
信長はそう言うと走り出した。
走り出した信長を追いかけようとする男をイリスが止めた。
「どけ、女。」
「ダメだよォ、君が犯人なんでしょォ? だったらァ、このまま放っておくわけにはいかないでしょォ?」
「テメェもそのこと知ってるのか。」
「当たり前じゃん。私たちは君を捕まえためにやってきたんだからァ。」
「そぉかよ。そんなら、死ね!」
男がそう叫ぶと、先程信長を襲った光がイリスを襲う。
イリスは横へ転がりその光を避ける。
「なるほどねェ。君の魔法はァ、ナイフで月の光を反射してェ、その反射した月の光を光線に変えるっていう魔法でしょォ?」
「流石、天下のターボン学園の生徒様だね。たった2回で俺の魔法について見抜く事ができるとは。」
「君のその魔法を見る感じィ、君は近接戦闘弱いでしょォ? つまりィ、この戦いは私に分があるって事なんだよねェ。」
イリスは男にそう伝えると、魔力を放出し電撃を纏う。
そして、地面を力強く蹴り出す。
「【
イリスの握る剣が男の持つナイフへと向かう。
だが、イリスの剣があと少しでナイフへとぶつかるその直前、イリスの頬を光線がかすめた。
イリスはとっさに後ろへと下がる。
「何が......起きたのォ。」
イリスにはあの男が放つ光がしっかりと目に見えていた。
だからこそ、男が光を放ったとしても避けることができた。
なのに、なぜ今の攻撃は何も見えなかったのか。
それは男の放つ光を見破れていたのは、発射と着弾のタイムラグがあったからだ。
だが、先程の攻撃はそのタイムラグがない。
発射から着弾が瞬間で行われた。
目で見てから避けたのでは遅い。
目に見えた瞬間には、自分を光が貫いていることになる。
それではダメだ。
「なかなかやるわねェ。」
「だから言っただろ。ここで殺すと。」
男は、もう一度ナイフを月へ向ける。
その瞬間、イリスは
すると、イリスのいた場所に光が通過する。
イリスは回転した勢いで助走をつけ、男へと向かって地面を力強く蹴り出した。
「【
イリスは魔力を放出させ、一気に勝負をつけようとした。
だが、イリスの体から魔力が放出されることがなかった。
「う......そ。」
男へと近づいてしまったイリス。
そんなイリスは、己の剣さばきだけを頼りに男のナイフを狙った。
だがその前に、男の放つ光がイリスの腹部を貫いた。
もし、魔力が放出できていれば、雷撃で光の攻撃を軽減することができたはずだった。
しかし、なぜか魔力を放出できなかった。
「グワァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
イリスの痛みを訴える叫び声が辺りに響いた。
「残念だったね。俺の魔法は1度でも攻撃が当たってしまうと、魔力の放出を抑制することができる細工がされているのさ。まぁ、次の攻撃で楽にしてあげるから、楽しみにしててよ。」
男がナイフを月の光へ向けようとする。
イリスは腹部を抑えながら、ゆっくりと立ち上がり剣を構えた。
だが、魔力の放出ができない。
放出ができなければ、電撃を使うことができない。
「それでもォ、私は負けないわよォ。」
イリスは誰にも聞こえないほどの小さな声で叫ぶ。
その瞬間、男のナイフが完全に月の光を捉えた。
なのだが、
「【
イリスと男の間に土の壁が作られる。
いや、正確には土でできた大きな球だ。
「はい。コレ、回復薬よ。これ飲んでイリスは休んでてよ。」
「ゆ......い。」
「信長に言われて、急いで駆けつけてきたってわけ。あとは任せて。」
イリスの目の前に結衣が現れた。
そして次の瞬間、男の光が結衣の作った土の壁のような球を破壊した。
「テメェも同業者かよ! 全員まとめて殺してやる!」
「その前に、私がアンタを説得させる。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます