第20話 許可はちゃんと取るんだぞ。
「さあ、信長くんたち!! 準備は出来てるかな?」
授業が終わると同時に、女子生徒が信長たちのいるD組へ女子生徒が訪れてきた。
「迎えに来てもらったのは嬉しいのだが、1つだけ聞いておきたいことがある。」
と、信長が言う。
「お主の名前はなんだ?」
そういえばそうだった。
学食で出会った時は勢いで信長を勧誘すると、すぐに消えてしまったので名前を教えて貰えていない。
「......あれ? ボク、まだ言ってない?」
「言われてないぞ。」
「......。それは、ゴメン。ボクの名前はミラン。ミラン先輩って呼んでね!」
信長たちを風紀委員に招待したのは、"ターボン学園風紀委員委員長"のミラン先輩という女子生徒。
しかし、その見た目は逆に風紀を乱してしまっているかのようだった。
というのも、着ているワイシャツのサイズが合っていないのか、胸の部分のボタンが外れてしまいそうなのだ。
さらに、小さいサイズのせいでお腹は丸見えだ。
まあ、何を言いたいのかと言うと、おっぱいがデカい。
うん、デカい。
信長は、改めてあの大きなおっぱいが自分の頭の上に乗っていたことを想像する。
え、凄くね?
っと、いかんいかん。
信長はふと目線を横に向けた。
そこにはウォールマリアがあった。
つまり、結衣の胸だ。
信長は結衣の胸をおっぱいとは認めていない。
これは結衣自身もそうで、ミラン先輩のおっぱいを見た結衣は敗北感に襲われていた。
同じ女としての敗北感だった。
ちなみに、ミラン先輩は昔、男の子と間違われる事が多かったそうだ(今は全く無くなったらしい)。
なぜなら、髪型がショートで活発な女の子だからだ。
今も首から上だけを見たら男子に見えなくもない。
性格は誰にでも仲良く接しているようで、男子からも女子からも人気のある先輩だ。
「いや〜、実は現在の風紀委員のメンバーが1人しかいないんだよね。」
「そうだったのか......。」
信長たちはミラン先輩と話しながら風紀委員の活動部屋へと向かった。
「そうなんだよ。君たちが入ってくれなかったら、風紀委員が終わっていたかもね。」
「ほう。」
色々と話しているうちに4人は活動部屋についた。
「じゃあ、開けるね。驚かないでよ?」
「うむ......。」
ミラン先輩が活動部屋の扉を開けた。
だが、その奥に広がるのはゴミの山。
「へ、へへ。」
と、苦笑いをするミラン先輩。
「あの〜先輩?」
そんな部屋の様子を見た結衣が何か物申したいようだ。
「なんでしょうかね。」
「この部屋を片付けるために私たちを誘ったわけではないですよね?」
「そんなこと......するわけ......ないだろ......。」
あ、図星?
「で、でも! 君たちを風紀委員に勧誘したかったのは本当だから!」
「......ハァ。」
結衣は大きめなため息をつく。
「先輩。まずは、部屋の片付けから始めますよ。」
〜3時間後〜
「ふぅ〜、やっと片付けられたよ。」
結衣が最後のゴミ袋を結んだことを確認したミラン先輩がそう言った。
さらにミラン先輩は続けた。
「じゃあ結衣くん。君は今日からお掃除係ということでよろしくね!」
「......え?」
風紀委員の掃除係が決まった。
その時、ゴミ袋をゴミ収集所にまで運んでいたイリスが帰ってきた。
そんなイリスにミラン先輩は元気よく話しかけた。
「お疲れサマンサー!!」
「ありがとうございますゥ。」
イリスはそのまま自然な流れで、活動部屋のソファにダイブ。
「あァ、疲れたァ。」
「本当にありがとね〜。」
「あァ、そういえば先輩ィ?」
「どうした?」
「私たちィ、この委員会に入ったわけだけどォ、必要な書類とかあるんじゃないィ? それを早く書きたいんだけどォ、いつ頃に渡してもらえるのですかァ?」
「そんなモノはないぞ。」
「へェ、書かなくていいんだァ。」
「あー、いや、普通の委員会なら書く必要はある。だが、風紀委員は普通じゃないからな。」
――え?
結衣とイリスが顔を合わせる。
普通じゃないって何?
特に部屋の掃除をしていない信長も読んでいた週刊少年フライから目を離し、ミラン先輩の顔を見た。
いや、掃除しろよ。
「ありゃ、言ってなかったっけ? この委員会って、ターボン学園の公式の委員会じゃないんだよね。だから、何をするにも自分たちの自己責任。自由に活動ってこと! 最高でしょ?」
「んん?」
「だって、風紀を正すための委員会なんて生徒会がやっちゃってるでしょ? 私たちは私たちに寄せられる"依頼"を解決して、風紀を正すんだよ。その過程で、怪我をしても自己責任になっちゃうし、非公式だから学園から経費が落ちることもないんだけどね。あっ、安心してほしいのは許可はとってあるよ。」
だがその後にミラン先輩が小声で、いやあれは許可って言えないか、と言っていたが、信長たちは聞かなかったことにした。
そして、3人はこの先の活動が不安になってしまった。
「ま、この話を聞いてしまった以上、君たちにはきちんと働いてもらうからね。」
「......。」
先輩って怖いね。
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