第14話 運命は意外と繋がりやすい。
「ねぇ信長、結局あのままでよかったの?」
「よい状態とは思えんが、ずっと気を失ってたし。」
「せめて、保健室に運ぶとかさ。」
「それをしたら、我らが悪く見えてしまうだろ。」
信長と結衣は男子生徒を行動不能にさせたあと、何事もなかったかのように帰宅した。
というのも、この日のターボン学園は午前で授業が終わったため早く帰れる。
男子生徒には気の毒だが、せっかく早く帰れる日なので無視して帰るしかないと判断した2人は、本当にその場に放置してきた。
「ところで結衣よ。我と行きたいところというのはどこなのだ?」
午前中で終わるということは午後は暇ということ。
なので結衣は信長を誘って、ターボン学園にあるレストラン街へと向かっていた。
ターボン学園は敷地内に都市とほぼ等しい機能を持っている。
そのため、服を買ったり、家電を買ったり、腹を満たしたりすることができる。
そんなターボン学園のレストラン街には様々なレストランが並んでいる。
焼肉から寿司屋、カフェまでなんでもある。
そして、結衣が信長をカフェに誘っていた。
「ほほう、かふぇか。知らないな。」
「じゃあ、この私が信長にカフェとは何かを教えてあげる。」
「そうか! 助かるぞ!!」
信長と結衣はそのカフェへ入店しようとした。
その時だった。
ドンッ!!
と、信長に1人の女の子がぶつかった。
「ビックリした! ちゃんと前を向いて歩かないか!!」
と、信長はその女の子に怒鳴るが、女の子はすみませんと、ただ一言だけ伝えると、急いでどこかへ行ってしまった。
「なんだったんだ、あの騒がしい
「何かを探してるような気がしたな。まあ、そんなことより私たちはこのカフェの新作パフェを食べるわよ! なんと今回のパフェ、カップルで入店すると半額になるんだよね。だから信長を誘ったってこと。」
「ほーう。つまり、この我を利用したというわけだ。」
「そーゆーこと! 今日は私の彼氏役になってもらうわ!」
「いい度胸じゃないか。」
「まぁ、とにかくいただくわよ!」
結衣は店員に新作パフェを注文した。
すると、10分ほどで噂の新作パフェが1つだけ届いた。
「いただきます!」
結衣はそう言うと、まずは1口だけゆっくり食べた。
「はああああ! うますぎ! うますぎだよ! 信長!!」
「そうか! なら、我もいただこう。」
と、信長。
頼んだパフェは1つだけなので、当然スプーンも1つだけしかない。
そもそも、結衣は信長にパフェを食べさせようと考えていなかった。
なので、結衣はスプーンは1つしかないのにどうやって食べるのだろう、と疑問に思った。
次の瞬間、信長は結衣の持つスプーンを奪うと、そのスプーンでパフェを1口食べた。
その行動に、結衣の顔が一気に赤くなった。
「は、はァ!? 何してるわけ!!」
「1口もらっただけだが?」
「調子乗ってるんじゃないわよ! 彼氏役なわけであって、彼氏にしたつもりないから!!」
「なぜ怒るのだ。」
「うっさい! 黙れ!」
結衣は信長のスプーンを奪った。
それ以降、信長が新作パフェを食べることができなかった。
――――――――――
「ありがとうございました!」
新作パフェを食べきった結衣は店員に笑顔で見送られながらカフェを出た。
「ありがとね、付き合ってくれて。」
「我はもう少し食べたかったぞ。」
「ふーん。」
結衣は半分無視して歩き出した。
その時、信長と結衣の耳に大きな足音が近づいてくるのが聞こえた。
ドンッ!!
すると次の瞬間、信長の体に1人の女の子がぶつかった。
「あああ! 痛いだろ! だから、ちゃんと前を――」
信長の怒鳴り声が途中で終わった。
「もしかして、君。」
「お主。」
結衣と信長の声が重なった。
というのも、信長にぶつかった女の子がカフェに入る前にもぶつかってきた女の子だったからだ。
「すみません! 本当にすみません!!」
女の子がものすごい勢いで謝ってきた。
「あ、いや、その。我も怒っているわけではない。気にするな。」
それに対して信長は優しいモードで対応した。
「ねぇ君。さっきから慌ててるみたいだけど、何かあったの?」
「いえ、何も。ただ、とある男の子を探していて。」
結衣の質問に対して、女の子は丁寧に返した。
その言葉を聞いた瞬間、信長と結衣は顔を合わせる。
((おい、リア充の匂いがするぞ。))
2人の思考が一致した。
「ねぇ、その男の子の画像見せてもらえる?」
「別にいいですけど……」
女の子はスマホで画像を探し、女の子と男の子が仲良く写っている写真を見せてもらった。
「って、この人って。」
その瞬間、結衣が反応をした。
すぐに信長も覗く。
「おい、この
2人は目を合わせるた。
((さっき、股間をつぶして行動不能にしちゃった奴じゃねぇぇぇかぁぁぁぁぁぁ!!))
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