『学園生活』篇
第8話 寮生活とかに憧れちゃう年頃なのだ。
魔術結社スカリーンの本部前にて、織田信長と田中結衣を送り出そうと、数人の魔術結社の者が集まって来ていた。
「制服やその他のお荷物は先に学園にお送りしましたのでご安心ください。」
「うむ。感謝する。」
「では、お気を付けて。」
「うむ。」
"尾張の大うつけ"織田信長、そして"全属性の
これから信長と結衣は魔術結社スカリーンの本部を出発し、ターボン学園へ向かう。
「じゃあ、信長。しっかり掴まっててね。」
「うむ。」
信長は結衣の体にくっつく。
「じゃあ、いくよ。」
そう言うと、結衣は魔力を放出。
「【
そして、足元に【
「【
足元の【
「なななななんだこれぇぇぇぇ!?」
「一気に学園まで飛んでくよ!!」
結衣はその【
「ウエデュルワゥォォォォォオォォォオォォォオォォォォ!!」
信長は変な叫び声を上げながら、結衣に掴まっていた。
20分ほど経つと、信長たちは学園に到着していた。
信長の顔色はとても悪い。
「でへへ。我は、怖がってなど、おらぬ、ぞ。」
信長はそんな事を言いながら、学園の寮へと向かった。
結衣はフラフラになりながら歩く信長の後姿を見送ると、女子寮を探すために地図を取り出した。
実は制服等が送られてきた時に、寮の場所が書かれている地図も送ってもらっている。
結衣はその地図を頼りに、なんとか寮を見つけ出した。
「ここにあったのか。」
結衣は寮の中に入った。
ターボン学園の寮には様々な設備がある。
まず1つ目に1番大事な生徒の部屋だ。
基本的には2人部屋。
だが、貴族などの場合、毎月ターボン学園へお金を納めることで個室対応にもなる。
ちなみに信長は個室だ。
しかし、結衣はスカリーンから援助を受けてもらえていないので2人部屋だ。
2つ目は毎日、朝と晩に食事が提供されるための食堂。
寮に住む生徒は無料でこの食事を取る事ができる。
そんな寮に結衣は今後住むことになる。
結衣は異世界に召喚される前、普通の高校生活を送るはずだった。
しかし、高校生活が始まる直前に異世界に召喚されたため、濃厚な学園生活というものを体験できずにいた。
だから、この学園生活が満喫できるというのは嬉しかった。
その点では、結衣は信長に感謝しているといえる。
「よぉし。田中結衣、これから頑張るぞ!!」
結衣は自分の部屋の扉を開けた。
しかし、結衣の視線の先には物で散らかっている部屋があった。床が見えない。ものすごくひどい状態だ。
どうやら共に同じ部屋で暮らす友達がすでに部屋に来ていたらしい。
結衣は汚い部屋の中を進みながら、ルームメイトがいないか探してみた。
すると、服の山が動いているのに気づいた。
結衣は近づきその山をどかした。
中にいたのはイリスだった。
「はァ、助かったァ。ありがとね、って、結衣じゃないィ。」
「イリス!」
「ここに結衣がいるってことはこれから一緒に暮らすのはァ、結衣って事なんだねェ。」
「そうらしいね、よろしくね! イリス!!」
それにしても、イリスは整理整頓ができない人なのだろうか。
と、結衣は散らかっている荷物を見ながら思った。
「イリス、整理手伝うよ。」
「お願いするねェ。」
そして、2人でイリスの荷物の整理を終えた。
「さて、整理整頓を完了したわけだし、寮の使用確認の手続きをしに行こう。」
「そうだねェ。」
2人は寮から出て、学園の事務室へ向かった。
しかしその途中、学園の売店で謎に騒いでいる男を見つけた。
「なぜだ! なぜ、この店には『週刊少年フライ』が売っていないのだ!!」
「ですから、『フライ』を置くのは、入学式後です。」
「では、我は今週号をどこで読めばいいのだ!」
「学園の外で読んでもらって。」
「しかし、学園の外に出るのには面倒くさい手続きをしなくてはいけないのだろ! それが、嫌なんだ!!」
イリスと結衣はしばらくその様子を見ていた。
しかし、
「結衣ィ、見なかったことにして早く行きましょォ。」
「ゴメン。一応知り合いだから、ちょっと1回殴ってくる。」
「やり過ぎないでねェ。」
結衣はゆっくりと、その騒いでいる人に近づく。
そして右手を大きく上げると、勢いよく振り下ろした。
振り下ろされた右手は男の頭頂部に勢いよくぶつかり、売店のレジの台へ男の頭がめり込んだ。
「ドュリュバア!!」
「何やってんの!? 信長!!」
「では......我も問おう。いきなり......何を......するのだと。」
「見てて恥ずかしいから止めに来ただけ! 」
「なん、だと。」
「フライなんて諦めてよね!」
結衣はそれだけ言うと、イリスのいる所へと戻った。
「なぜ......怒って......いるのだ......?」
状況が掴めなかった信長は、しばらくその場から動けなかったという。
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